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第2回
スマートフォンを使う患者さんが急増中!

スマートフォンの保有率の増加に伴い、スマートフォンをもつ患者さんのライフスタイルも変化しつつある。
そんな患者さんの変化に対して、医療機関が行うべきこととは。

  • 2013年4月26日、「いつかはその日が来るだろう」と予想されていたことが起こった。

    米リサーチ会社「IDC」がこの日「2013年第1四半期(1~3月)の世界携帯端末市場調査」を発表。この期間における世界のスマートフォンの出荷台数が、フィーチャーフォン(携帯電話)の出荷台数をはじめて上回ったことを報告したのである。

    スマートフォンの爆発的な普及は日本も例外ではない。博報堂が5月14日に発表した「全国スマートフォンユーザー1000人定期調査」によれば、2013年2月時点で、日本におけるスマートフォン保有率は45.6%と全体の半数近くに迫っている。これは前年比20%の増加率だ。

    スマートフォンの保有率を年代別に見てみると、15~19歳が70.4%、20代が71.6%、30代が54.5%、40代が39.8%、50代が30.6%、60歳以上が15.7%。つまり、日本人の40歳未満の半数以上がスマートフォンを利用していることになる。

    さらに株式会社MM総研によると、スマートフォンの契約数は2014年度中にフィーチャーフォン契約数を超えるという。米国に約一年遅れて、日本でもスマートフォンが過半数を占めるようになるのだ。

    (出典:株式会社MM総研「スマートフォン市場規模の推移・予測」)

  • この一年でスマートフォンを使う患者さんが急増!

    スマートフォンの保有率の増加に伴い、スマートフォンをもつ患者さんのライフスタイルも変化しつつある。

    博報堂の調査によると、スマートフォンを使いはじめたことによる意識や行動の変化トップ3は、「①屋外でもインターネットに触れる機会が増えた ②インターネットに接触している時間が増えた ③わからないことや気になることがあったらすぐに検索してみるようになった」だった。

    つまり、スマートフォンを使う患者さんは、フィーチャーフォンを使っていたときよりも、気軽にインターネットに接続し、病院やクリニックに関する情報を積極的に探すようになったのだ。

    大手病院検索サイトのアクセス数調査からも、その傾向がうかがえる。

    株式会社eヘルスケアが運営する「病院なび」は、全国16万件の病院・医院が登録されており、月1000万ページビューをほこる日本最大の医院・病院検索サイトだ。つまり、患者さんが最も利用している病院検索サイトである。

    同サイトは、2012年9月からスマートフォン・ユーザーに向けてサイトを改善した結果、4カ月後にはスマートフォン経由のサイトアクセスがPCを上回り、スマートフォン・ユーザー(主に患者さん)のアクセス数は半年間で1.7倍に増加した発表している。

    (出典:株式会社eヘルスケア プレスリリース)

    2013年5月時点のスマートフォン経由の同サイトへのアクセス数は、全体の52.4%。前年5月時は16.7%しかなかったため、この一年でスマートフォンを使った、患者さんのアクセスが急激に伸びたことがわかる。

    また、スマートフォン経由に敵わないものの、PCからのアクセス数も増加傾向にある。これはスマートフォンでアクセスしてきた患者さんが、自宅にあるPCからもアクセスするようになったためだろう。

    (出典:株式会社eヘルスケア プレスリリース)

    このように、スマートフォンからのアクセスの増加はめざましいものがあるので、スマートフォンを使う患者さんが急増していといえる。

    よって医療機関は、増加するスマートフォンを使う患者さんに適した、スマートフォン対応のウェブサイト設計や、ソーシャルメディアやブログ上での情報発信を考えていく必要がある

  • スマートフォンからみやすいウェブサイトが必要

    PC向けに作られたサイトであってもスマートフォンで閲覧可能だが、ユーザーにさまざまな負担を課すことになる。

    (出典:株式会社D2C「モバイル利用動向調査」)

    これは株式会社D2Cが、2012年8月に行った「モバイル利用動向調査」によるデータだ。スマートフォンからPCサイトを見る際ストレスや不満があった、と答えた人の割合は全体の89.2%にのぼっている。

    ストレスの理由のトップ3は、「①文字が小さい ②指先で拡大・縮小するのが面倒 ③間違ったところをクリックしてしまう」だった。「見るのをやめようと思った」と答えた人や「その企業のイメージが悪くなる」という手厳しい意見も見られる。

    つまり、スマートフォンが普及した現代では、スマートフォンに最適化していないサイトでは、スマートフォンを持つ患者さんを満足させられないのだ

    例えば、スマートフォン用サイトとPCサイトをそれぞれスマートフォンから見たとき、以下のように見易さが大きく異なる。

    まず、スマートフォン用サイトの、病院なびにアクセスしてみた。

    つづいてスマートフォンに最適化していないサイト「マイクリニック」のトップページにアクセスしてみた。

    両サイトとも、病院検索サイトとしては業界トップクラスのアクセス数をほこるが、スマートフォンからの見やすさは「病院なび」が圧勝である。

    2つサイトの違いは一見しただけでも歴然だが、指での拡大縮小や文字入力といった操作面も考えると、スマートフォン用に最適化されたサイトと、そうでないサイトでは、使い勝手に大きな差があると言えるだろう。

  • スマートフォンを使う患者さんが急増したことは、病院にとって何を意味するか?

    自分に合った病院をスマートフォンから探す人は、スマートフォンから病院検索サイトや病院の公式サイトを見る。その後、病院のスタッフや設備、時間帯、クチコミなどの情報を精査して、病院を決める。

    病院で診察を終えた患者さんは、帰り際にスマートフォンを取り出し、その病院のクチコミを、FacebookやTwitterなどのソーシャルメディアや、病院評価サイトに投稿するもしれない。

    つまり、スマートフォンを手にした患者さんが増えたことで、病院のクチコミは以前よりも広がりやすくなった。同時にクチコミをスマートフォンで見て病院を選ぶ人が増えた。

    このようにクチコミが広がり、精査される時代だからこそ、病院側は患者さんの満足度を上げるために、オフライン(病院現場)でもオンライン(ブログやソーシャルメディア、病院サイト)でも高いレベルのサービスを提供していく必要がある

    スマートフォンやIT、ソーシャルメディアなどはとっつきにくいが、一度味方に付ければ心強い仲間となる。「医師向けのIT活用術」では、今後医療業務や患者さんとのコミュニケーションに役立つ知識や導入するための方法を紹介し、ITをより近しい仲間とするお手伝いをしていきたいと思っている。

 
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