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第18回
バーチャル・リアリティ技術がもたらす医療への変革

最近ではリストバンド型の活動量計が非常に人気だが、海外にはさまざまな特徴を持ったデバイスがある。
今回はその中から5つを紹介する。

  • 今ウェアラブルデバイスが大人気

    近年バイタルデータを記録可能な、リストバンド型のウェアラブルデバイスが数多く発売されている。この分野で有名なプロダクトは、Fuelband(上画像)、Fitbit、UP by Jawboneなど全て米国企業である。

    今年2月に開催されたMWC( Mobile World Congress)では、サムスン電子(韓国)やソニー株式会社、ファーウェイ・テクノロジーズ(中国)などもリストバンド型のウェアラブルデバイスを発表し、この分野が注目されていることがわかる。

    リストバンド型ウェアラブルデバイスの特徴は、デバイスを装着しているだけで、日常の運動量や食習慣を測定することができることである。

    普段から自分自身の身体の情報を確認していれば、不健康な生活を防ぎ、病気になる前に予防することができる。病気の予防施策は、医療費の削減の為に行政機関も注目している。

    ところで、ウェアラブルデバイスはフィットネスやヘルスケア用途のものが人気であるが、他にも生活や健康維持に活用できるものもある。今回は、日本であまり知られていないウェアラブルデバイスを5つ紹介する。

  • 1. Hapifork

    Hapiforkはフォーク型のウェアラブルデバイスだ。このデバイスは文字通りフォークの形をしていて、これを使って食事をとるだけで、自分の食事のリズムを把握できる。

    このデバイスが開発された背景には、ゆっくり食事をとることが消化器官の活動によい効果をもたらし健康につながるSlow Controlという考えがある。

    Hapiforkはこの考えにのっとり、普段の食事が適切なスピードでとられているかを計測するデバイスだ。

    具体的には、食事にかけた時間や、一分間にフォークを口元まで持ってきた回数、フォークを口元まで持っていく平均時間を記録する。つまり、どれくらいのスピードで食べているかを計測することで、食習慣を見直すことができるのだ。

    計測したデータは専用のモバイルアプリやサイト上から閲覧可能。最近では、運動計測アプリMovesとも連携し、食習慣管理と運動量管理を同時に行えるようになった。

  • 2. Lumoback

    Lumobackは姿勢を補整する為のベルト型デバイスだ。腰回りにつけることで、身体の傾き具合から姿勢の良し悪しを記録、点数化してくれ、姿勢が悪いと振動で知らせてくれる。また、座位、立位の時間や歩数、睡眠時間まで計測してくれる。

    また無料の専用アプリがあり、ベルトの内蔵チップと同期することで記録を見ることができる。アプリには、本人のアバターMyLUMOを設定することができ、MyLUMOがどんな姿勢をとっているかをアプリで確認可能なので、自分の姿勢が悪かったら一目瞭然だ。

    姿勢が改善されれば、腰椎への負担が軽減され、ヘルニア等の疾患に悩まされる可能性も減るだろう。特にデスクワークが多い仕事をしている人たちには是非使ってもらいたいデバイスである。

    専用のベルト型センサーは約150ドル(約1万5,000円)で販売されている。今夏には、LumoLiftという携帯型の新しいモデルがリリースされるが身体のほとんどあらゆる場所に取り付けることができるので、Lumobackよりもスタイリッシュになっている。

    既に先行予約が99ドル(約1万円)から開始、その数は1万6,000個以上にのぼっている。

  • 3. neuma

    neumaは自律神経のバランスによってストレス管理することができるデバイスだ。腕時計のように手首につけて日常生活を送ることで交感神経系の働きを測定する。

    この記録は位置情報などと紐づいており、タブレットやスマートフォン上でいつどの場所でストレスを感じていたかを一目で確認することができる。

    このストレス管理デバイスは職場のメンタルヘルスで威力を発揮している。現在フォーチュン500に掲載されている大手企業と協力し、集団業務とストレスとの関係性について研究しているそうだ。

    また、PTSD(心的外傷後ストレス障害)の研究にも有効だ。このbiowatchはホームページにて1,500ドル(約15万円)で販売されている。

    気になるのはどんな技術を使っているかである。MIT Technology Reviewの記事によれば、このデバイスは身体の動き、発汗、皮膚の温度など興奮やストレスに関係する要素を検知している。

    ただしスポーツ観戦して興奮する時など、ストレスと直接関係無い場合はどう扱うかといった課題に対する解決策がまだ見つかっておらず、今後さらなる進化が必要とされている。

  • 4. Cefaly

    (出典:MedGadget

    Cefalyは偏頭痛を軽減するウェアラブルデバイスだ。病気の治療の為に強力な薬を服用している患者さんは特に副作用で偏頭痛に悩まされることが多かった。

    患者さんはこのデバイスを使うと、痛みのもとになる三叉神経に経皮的電気神経刺激(TENS)を与えることで、偏頭痛を軽減することができる。

    ただし、18歳以上の患者さんしか利用できず、20分程度の利用に制限されている。

    経皮的電気神経刺激そのものは、数十年前から行われてきた治療方法の1つであり、臨床現場でも用いられてきたものである。

    Cefalyはこの仕組みをデバイスとして開発し販売している点で画期的だ。現在このデバイスは350ドル(約3万5,000円)で販売されている。

    このデバイスを開発したのはベルギーのスタートアップだが、フランス・ベルギーで既に2,000人から評価を得ており、67人の偏頭痛患者に対して調査した研究により米国FDAの審査をクリアするなど、一定の信頼性があると評価されている。

  • 5. TempDrop

    TempDropは基礎体温を確認することができるウェアラブルデバイスだ。

    基礎体温は月経周期と関係しており、測定することで妊娠・生理・排卵の予測ができる。しかし、早朝の基礎体温を測る為には起床してすぐに体温計で計測しなければならなかった。

    TempDropは腋窩にデバイスをとりつけていれば、就寝中もデバイスが体温を測定してくれる。

    そして計測記録から最も低い体温の近似値を測定してくれる。スマートフォンと同期してアプリ上で日々の基礎体温のデータを見ることも出来るので、紙のノートに毎日記録する必要も無くなるのだ。

    ただし、まだ開発されたばかりのデバイスなので、現状は婦人体温計の方が信頼性は高いだろう。

    現在TempDropはIndiegogoというクラウドファンディングのサイトで10万ドル(約1,000万円)の資金調達を目指している。

  • ウェアラブルデバイスは健康管理のパラダイムを変えるか?!

    今回紹介したデバイスは日常生活に馴染んだ形で簡単にバイタルデータを計測できる。ただし、そのデータは患者さんが個人で「管理」する目的のものがほとんどで、病院で医師に見せることで診断に使えるかどうかは疑問符がつく。

    しかし、デバイスによるメリットは大きい。バイタルサインを即座に見つけることで、病気になる前に身体の異常を予防することができ、普段の生活でどう行動改善すればよいかが分かるようになるからだ。

    私達の身体は生体恒常性によってある程度まで同じ状態を保っているが、長い期間で見れば絶え間なく変化しており、この変化を確認することが病気を防ぐきっかけになる。その変化を簡単に知ることができるようになるウェアラブルデバイスに今後も目が離せない。

 
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