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第10回
米国医療機関に人気の「foursquare」とは?

日本のSNSのツートップと言えるFacebookとTwitter。この傾向は米国でも変わらない。
しかし、米国の医療機関では、foursquareというSNSが2番目に多く利用されているという。
位置情報を用いたSNSと言われるfoursquareと医療機関との関わりに迫る。

  • Facebook、TwitterといったSNSはインフラと化し、人々のコミュニケーションを形作りつつある。現在では数多くのSNSサービスが提供されているが、2012年度のFacebookの利用者が約9億人、Twitterの利用者数が約2億人と、この2つのSNSが利用者の獲得数においては圧倒的に他サービスを引き離しているのが現状だ。

    ところが、米国医療機関におけるSNSの利用数を見ると、様相が一変する。1位Facebook、2位foursquare、3位Twitter、4位You Tube、5位がLinkedlnと、foursquareが利用数第2位を獲得しているのだ。

    SNS Facebook foursquare Twitter You Tube Linkedln
    登録している病院数 1292 1090 998 716 651

    (2013年11月14日時点。データはSocial Media Health Network「Health Care Social Media List」による)

    foursquareは、自分が訪れた店舗、駅、施設、観光地など、さまざまな場所を公開できるサービス。「現在ここにいる」「こんなところにいった」など、自分の居る場所(位置情報)と関連づけて、さまざまな情報を公開できる。

    もっとも、米国全体でfoursquareの利用数が突出しているわけではない。米Nielsenが2012年12月にまとめた同国におけるSNSの使用状況を見ると、Facebook、Twitter、LinkedIn、Pinterest、Google+、Tumblrとつづき、foursquareの名前は挙がってこない。

    それでは何故、多くの米国の医療機関はfoursquareを登録しているのだろうか? 施設との親和性の高いfoursquareの秘密を探ってみた。

  • 自分の居場所を友達に知らせたり、付近の施設を調べたり。

    (出典:foursquare 「新宿アルタ」で検索)

    foursquareのユーザーは、仲の良い友人と利用していれば、「現在こういうところにいる」といった行動を共有し、電話や会話のきっかけとすることができる。

    例えば新宿アルタにてfoursquareアプリを起動すると、GPSを通じて自分の居場所が表示される。このとき認識された場所を公開するかどうかは利用者が自由に決定できる。その他、その場所に行った感想を投稿したり、ここを訪れた他のfoursquareユーザーを調べることも可能だ。

    (出典:foursquare 新宿アルタ付近で「カフェ」で検索)

    また、付近の施設や店舗などの情報を簡単に検索・参照することもできる。試しに新宿アルタ前で「カフェ」をキーワードに検索してみると、続々付近の店舗が表示された。

    (出典:「BEER & CAFE BERG」 foursquareページ)

    それぞれ登録されている施設に訪れたユーザーからのレビューをチェックできる。店の雰囲気やメニューのレビューを投稿するユーザーもいれば、ファン同士で交流を楽しむユーザーもいる。

    さらにチェックイン(自分のいる店や場所を登録し、ネットで公開すること)の回数や頻度などによっては、foursquare内で勲章のようなバッジがもらえる。特定の店舗で最もチェックインが多かった人は、その場所のメイヤー(市長)の称号をもらうことができる特典もあるという。

  • なぜ米国の各医療機関はfoursquareに登録するのか?

    (出典:「Photo Pin」

    友人と特定の場所を通してのコミュニケーションツールとして盛り上がれるだけでなく、利便性の高い施設情報アプリとしても機能するのが、ユーザーを惹き付けるfoursquareの魅力だ。

    米Salesforce社のTwitterアカウント運用責任者のCorey Rawdon氏は「ヘルスケアのためのFoursquare」と題した記事にて、こう述べている。

    「例えばあるレストランに入って、foursquareにチェックインしたとしますね。このとき自分の友人が、前にそのレストランに入ったことがあると分かったらどうでしょう? そして、彼がレストランについて情報を残していてくれたら、『この情報は信頼できる』と思うはずです」

    信頼できる情報があれば、ユーザーはその施設を「利用したい」という気持ちがより強くなる。医療機関が登録数でTwitterを上回るのは、「その地域を訪れた人に施設の存在を知らせることができ、利用される可能性が高くなる」という特性のためだろう。

    また、foursquareへの登録は施設の持ち主でなくても可能であることも、各医療機関が登録を急ぐ原因となっているようだ。医療サービスを提供する非営利団体Snaford Healthのソーシャルメディア戦略担当Max Kringen氏はこう語る

    「各施設は関係者でない他のユーザーによって先に登録され、チェックインされうる状況にあります」

    もし関係者のあずかり知らぬところで、一般ユーザーが医療機関をfoursquareに登録してしまった場合、医師やスタッフの意思や知識に反する形で情報が蓄積されていく危険もある。

    こうした事態を防ぎ、医療機関にとって望ましい方向に情報をコントロールするためにも、医療機関の関係者は迅速にfoursquareに登録する必要がある、とKringen氏は説いている。

    また各医療機関は、自分の病院や別の病院のfoursquareに寄せられたレビューを参照することで、病院の評判や課題を知ることができる。「foursquareからわかる、6つの興味深い事実」という記事を見ると、foursquareユーザーによる米国の医療機関のチェックイン回数ランキングや、評判ランキングなどをチェックできる(下画像)。

    (出典:Spotistic「Infographic – 6 Intriguing Facts about American Hospitals on Foursquare」)

  • 医療機関はfoursquareで何を発信するべき?

    近いうちに日本でも、foursquareを使った患者さんが増え、「自分の位置情報から医療機関を検索して、評判や発信情報を見て、医療機関を決めること」が一般的になるだろう。

    では医療機関は、foursquareで何を発信すべきなのか?

    医療系メディア「Social Health Institute」創業者 Reed Smith氏によると、医療機関はfoursquareで、以下の項目を発信すべきだと述べている。

    • 病院でのボランティアに関する情報
    • 病院周辺のおすすめカフェ情報
    • 病院の連絡先(目的別)
    • 付近の託児所へのアクセス情報
    • 診断の予約方法に関する情報

    このように、foursquareでは、FacebookやTwitterと少し異なり、地図情報を使った情報発信が有効である。

    日本ではまだ早いと思われるかもしれないが、ぜひともあなたの医療機関も、foursquareを使って情報発信してみてほしい。

 
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