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第1回
病院で公式にFacebookを運営する際の4つのチェックリスト

SNSの代表格「Facebook」
病院やクリニックで活用するのであれば、どのように用いるべきなのか。
心がけるべき要素を4つのチェックリストでご紹介。

  • FacebookやTwitter、LINEなど、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)と呼ばれる無料のコミュニケーションツールの利用者が急増している。

    ごく気軽に情報を発信でき、ユーザー同士が情報を共有したり、評価し合うことのできるSNSは、人と人のつながりの新たな形を提供するものとして、あるいは人々が知りたい情報を広める「口コミ」ツールとして、一般にも広く浸透している。

    SNSの普及率を示すものとして、ICT総研が2013年5月30日に「日本における利用動向に関する調査」を発表した。これは同社がSNS運営会社・関連企業からの取材や、ネットユーザーに行った1万2,000人分のアンケート、各種公開資料を元に分析したものだ。

    (出典:ICT総研「2013年 SNS利用動向に関する調査」)

    調査によると、2012年末時の国内のネットユーザーは9,556万人。SNS利用者はそのうちの52%にあたる4,965万人だった。その一年前は4,289万人だったから純増者数は676万人。1ヶ月平均で56万人利用者が増えた計算になる。

    (出典:ICT総研「2013年 SNS利用動向に関する調査」)

    SNS別に見てみると、もっとも利用率が高かったSNSはFacebookの34%だった。以下「LINE」が27%、「Twitter」26%、「mixi」22%、「Skype」16%とつづいている。

    Facebookのもっとも大きな特徴は全てのやり取りが実名で行われることだ。登録の際、仮名や偽名の使用は禁じられており、偽名が見つかった場合はアカウント停止処分となる。

    そのため友人や知人を見つけやすく、利用者は責任を持った情報発信を行うため、誹謗中傷などが比較的行われにくい。そうした性質もあってか、ビジネス用途や就職活動でも広く利用されており、著名人や企業の公式Facebookページも数多い。

    実名でやりとりできる、撮った写真を共有できる、イベントを告知できるなどの機能を持つFacebookページは、病院や医院のスタッフの方々にとっても、公式な情報発信や患者さんとのコミュニケーションを行うものとして有用なツールと言えるだろう。

    一方で、Facebookの利用にはいくつか注意すべき点もある。

    1つは情報発信を継続的に行う必要があり、コミュニケーションにも一定の時間を割かなければならないこと。無計画にはじめてしまうと、いつまでも更新されないままで開店休業状態となったり、読者とのやりとりに四苦八苦するはめになる。

    2つ目は、読者との関係に気を付けることだ。SNSでは気軽に情報発信が行えるため、不用意な発言をして思わぬ反感や批判を生んでしまった例は数多い。

    そして最後に注意すべきなのは、「いいね!」の数を集めることを意識しすぎて、本来の目的のひとつである患者さんとのコミュニケーションの質が下がってしまうことだ。

    このように、便利な反面、利用にはいくつかの危険性も孕んでいるFacebook。

    病院やクリニックで活用するのであれば、どのように用いるべきなのか。心がけるべき要素を4つのチェックリストにまとめた。

  • 1. あらかじめコメントに対する運用ポリシーを決めておく

    公式に病院の名称を冠してFacebookをはじめる際、一番大切なことはどのように読者の人たちと交流するかを決定しておくことだ。

    記事を投稿するうち、読者からコメントがつき、返信を考えなくてはならない時が来る。そのとき、「せっかくコメントをくれたのだから」と1件1件律儀に対応するのは大変なことだ。

    人数が膨らむに連れて、次第に対応を負担に感じたり、時間を取れなくなってしまうこともある。そうなってから突然コメントを返さなくなるのも罰が悪い。

    そのようなケースに防ぐため、Facebookをはじめる前に、コメントに対応する運用ポリシーをあらかじめ決定しておくといいだろう。

    おすすめなのは、「お問い合わせ系のコメントのみ返事をする。それ以外のコメントには返事を返さず、代わりに『いいね!』をすることで意思を示す」という形の運用だ。

  • 2. 患者さんにとって親しみのわく言葉を使う

    Facebookに限らず、SNSをはじめる際に一番頭を悩ませるのが「どんな話題を中心にするか」だろう。

    できることなら自分の信念を人々と分かち合いたい、という高い理想を抱く方もいるかも知れないし、あるいはフォーマルな場だからあまりラフな話題はできないと考える方もいるかも知れない。

    SNSを情報発信の目的で使う際のコツをちょっとだけお教えしよう。それは「構えすぎない」ことだ。

    実はFacebookをはじめとしたSNSは、主張や意見を発信する場としてはやや役不足な面がある。これはFacebookをはじめとしたSNSが、「フィード」と呼ばれる画面を用意しており、さまざまな情報が時系列順に流れていくという形式を取っているためだ。

    主張や意見は新しい投稿に押し出される形で下に流れていくため、保存性に乏しく、まとまった印象として残りにくい。読者にとっつきにくい内容だと判断されれば読み流されてしまうことも多い。

    そのため、多くの言葉で語りたい場合は、Facebookページでなく一般的なホームページなど別の発信方法を用い、Facebookでは手軽に読める話題、1回で完結する話題、ユーモラスだったり和める話題を持ってくるとよいだろう。

    手軽に扱える素材としてポピュラーなのは、ローカルなネタや、時事のことがら、季節の便りなどだ。その中で患者さんとのちょっとした交流の報告や感謝の言葉を述べるなど、ちょっとした触れあいを少しずつ混ぜていくのがおすすめだ。

  • 3. 美しい写真や親しみの持てる写真を多用する

    2で述べたように、あまり硬い文章はFacebookでは敬遠される傾向にある。それは文章の量も同じで、できるだけ1回の投稿で1つの話題が完結できるようにし、文字数も少なめなのが望ましい。1回の投稿における文字数の目安は200文字程度だ。

    しかし、200文字足らずの文字の情報発信だけではいかにも寂しい、伝わらないと思う方もいるかも知れない。そこでFacebookで積極的に活用していきたいのが写真だ。

    JTBのFacebookページより)

    Facebookの投稿において、風景などの美しい写真や、日常の行事など親しみのもてる写真は多くの人の目を惹き付け、現場の様子や内事情を自分も知ることができたような臨場感や親しみを感じさせる。Facebookの醍醐味は写真にこそある、と言っても過言ではないだろう。

  • 4. 目先の数字に一喜一憂しない

    最後に気を付けたいことは、読者からの「人気」についてだ。公式にFacebookを始めたからには、より高い人気を得たいというのが人情というものだろう。

    しかし、Facebookの人気の尺度には落とし穴がある。一番目立つのは、読者が支持をした際に記事に簡単にその意思を示すことができる「いいね!」だ。

    Facebook発信者の中には「いいね!」を人気の度合いを示す絶対的な指標と考え、これを集めることに躍起になる人もいる。しかし、実は「いいね!」を多く集める大手企業のページには、専任スタッフや広告予算を多く投入して票を得ているケースが多く見られるように、絶対的な尺度とは言い難い。

    「いいね!」をつけられたことを励みにすることは悪い事ではないが、この数を増やすことが目的にすり替わらないよう、自分を戒めることが必要だ。

    そのためには、「一期一会」で「いいね!」を押してくれた人に地道なアピールを続け、長期的に病院の情報を受け取ってもらうことこそが「目的」であると、あらかじめ定めておくとよいだろう。そして目先の数を追ってしまったときには、この目的を思い返して原点に立ち返ることだ。

  • SNSの代表格、Facebookを使って病院の評判を上げるためのチェックリストまとめ

    SNSは公式に情報発信を行い、人々とのつながりを深めるのに重用するツールだ。しかし、あまりに簡単に運用できるために、かえって落とし穴にはまってしまうケースも少なくない。そうした失敗を防ぐためには、準備期間を設け、しかるべき取り決め事をしておくことが肝要だろう。

    • 読者との関わり方を決めているか
    • 患者さんにとって親しみのわく言葉を使っているか
    • 質の高い写真を多用しているか
    • 目先の数字に一喜一憂していないか

    もしかしたら4項目を見て気付いた方もおられるかも知れない。実はこれらは全て、読者にとって読みやすいもの、面白いもの、より良い交流をもたらすための目標なのだ。

    FacebookをはじめとするSNSを始めるとき、迷った時には、どうすれば読者のためになるかを考えて欲しい。継続的にファンを楽しませることを第一とし、少数でも熱心に見てくれる人たちに合わせたページ運営を続けることが、長きにわたって愛されるFacebookページをつくっていくのだから。

 
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