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地域包括ケアシステム構築にIT活用!アプリで連携力を最大化

団塊の世代が75歳以上となる2025年に向け、厚生労働省が推進している地域包括ケアシステム。はたしてIT活用でその構築プロセスを円滑にすることはできるのだろうか。秋田県で始まった独自アプリによる取り組み事例をご紹介する。

  • 地域包括ケアシステムの構築プロセス

    地域包括ケアの目的は、「高齢者の尊厳を保持し、自立した生活を支援すること」だ。今後の高齢化社会を円滑に支えていくためには、高齢者本人が住み慣れた地元で、可能な限り自分らしい暮らしを最期まで続けられる体制の構築が必要だと考えられている。

    具体的な目標は、住まい・医療・介護・予防・生活支援などを一体的に提供することだ。これを実現するためには、総人口や年代の構成など、それぞれの地域で大きく異なる高齢化の特性に応じた構築プロセスが重要となる。そこで市町村では、 3年ごとの介護保険事業計画の策定・実施を通じ、地域の自主性や主体性に基づいて地域包括ケアシステムを構築していくとのこと。

    成功のカギとなるのは、言うまでもなく医療や介護といった要素だろう。認知症はもちろん、何らかの疾病を抱えた高齢者も住み慣れた場所で生活と療養を続けられるよう、包括的かつ継続的な在宅医療・介護の提供を行うことが望ましい。そこで厚生労働省は、体制作りのために地域における関係機関の連携や多職種協働といった取り組みを推進している。

  • 患者が医療・介護・福祉に情報共有できる秋田県で始まった独自アプリ

    患者に関する記録は、病院や介護施設などがそれぞれ管理しており、従来は共有されることがほとんどなかった。しかし、地域包括ケアシステムの成功には情報の共有が不可欠となる。そこに着目した由利本荘医師会(秋田県由利本荘市)の取り組みが、メディアに取り上げられ話題となった。

    同医師会が、地域の福祉関係者らと共に普及を進めているもの。それは、患者の情報を本人が許可した医療機関やその他の関連施設が共有できるアプリ「ナラティブ(narrative: 物語)」だ。

    • 病名
    • 投薬状況
    • 緊急連絡先
    • 医療・福祉関係者らによる対応時の状態
    • 医師やケアマネジャーによる留意点
    • 患者本人が診察時には言えない本音
    • 家族からの励ましのメッセージや写真

    上記のような情報を記録・共有することで、各施設やスタッフ間の連携を円滑にする。関係者からは、「福祉や医療といった分野の垣根を越えた連携が容易になった」として、高評価を得ているようだ。

    河北新報の報道によると、2018年4月時点で患者約120人と約60施設がこのアプリに登録したとのこと。全国への普及も視野に入れ、ビジネスモデルとしての確立を目指している。

  • まとめ

    リアルタイムの情報共有は、IT化の強みのひとつだ。患者の意向を中心に据え、親族や医療関係者などが連携できる体制作りが、今後全国にも広がっていくのではないだろうか。

SAJP.SA.18.10.2925
 
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