文字サイズ

クラウド型は安全か?診療所向け電子カルテ普及の行方

医療現場でのIT活用度は、電子カルテ導入の有無によって大きく左右される。ただし、導入や維持にかかるコスト問題や、クラウド型のセキュリティーに対する懸念など、障壁はなかなか無くならない。はたして今後、どのような動向が予想されるだろうか?

  • リスクよりもメリット重視か、導入率は4.2%増

    保健医療福祉情報システム工業会が発表した最新の調査結果(2017年調査)によると、電子カルテの導入率は4.2%増の34.4%で、前年からの伸び率は13.4%とやや高くなっている。また、規模とコストのバランスを取りやすいこともあってか、やはり病床規模の大きな医療機関ほど普及率が高いようだ。

    また、電子カルテ導入の選択肢として、欧米で主流のクラウド型が日本でも脚光を浴び始めている。セキュリティーをはじめとした課題には慎重に取り組む必要があるものの、資金面やデータ保存といったメリットも大きい。

    クラウド型電子カルテを新たに導入した病院では、採用に踏み切った理由としてまず「災害時の対策」を挙げている。東日本大震災により浮き彫りとなった患者データのバックアップという課題を踏まえ、医療機関が被災してカルテが失われる非常事態に備えようというのだ。

    クラウド型電子カルテは、クラウドに接続できればどこからでもカルテにアクセスできる。災害のような非常時のデータ散逸と診療中断を避けるためには、遠く離れた場所に複数のデータセンターを設けておくとより効果的だろう。

  • 診療所向けのクラウド型電子カルテが本格普及へ

    クラウド型電子カルテでは、従来のシステム型と比べると設備投資をはじめとした導入・運営費用が大きく軽減される。そのため、「電子カルテは大病院だけのもの」という世の中の常識も少しずつ変わってきた。小規模な診療所でも、電子カルテ導入の選択肢が出てきたためだ。

    資本提携を発表した開発側は、診療所向けクラウド電子カルテの普及促進に向けた協業を推進していくとのこと。ただし、手が届くようになっても、クラウドを利用するとなると安全性についての懸念がつきまとう。

    それに対し、クラウド電子カルテ「Clipla」の開発チームは、大規模なデータ漏えい問題が起こる原因の大半を占めるという「運営内部」のセキュリティー対策を徹底。多くの人間が開発に携わるなか、運用データに接触できるエンジニアを限定し、さらにそれらのエンジニア同士が厳重な相互監視を行っていることを公言している。

    また、確固たる情報保全を前提とする一方で、必要に応じた情報共有がスムーズに行えることも電子カルテ運用の重要事項だ。そうした安全性や実用性などの基盤が固められれば、拡張性の高いクラウド型が広く普及する可能性も出てくるだろう。

  • まとめ

    もしも今後、小規模な診療所でもカルテのIT化が進めば、電子カルテ導入率は跳ね上がることになりそうだ。システム型にせよ、クラウド型にせよ、選択にあたっては管理体制やセキュリティー対策についての比較を怠らず、問題を最小限に抑えて電子カルテ導入を成功させたい。

SAJP.SA.18.08.1996
 
本コンテンツを知人に勧める可能性は、どのくらいありますか?