海外文献よりSLEに関する最新のエビデンスをお届けします
文献選定・監修 慶應義塾大学医学部
リウマチ・膠原病内科 竹内 勤 先生
全身性エリテマトーデス(SLE)は患者数(平成28年度特定疾患医療受給者証所持者数)が6万人を超える代表的な自己免疫疾患である。過剰に産生された抗DNA抗体などの自己抗体が免疫複合体を形成して組織に沈着し、炎症が惹起されると考えられている。その病因については未だ不明な点が多いものの、診断法・治療法の進歩や新薬の登場などにより、予後は徐々に改善しつつある。本サマリーシリーズでは、SLEの病因・病態解析や診断・治療に関する国内外の最新論文の中から、毎回、2報を厳選して紹介する。
今回の1報目は、ループス腎炎進行のリスク因子として1年時の血清アルブミン値を評価した研究である。蛋白尿があっても血清アルブミン値がある程度維持されていれば長期の腎転帰は良好であることが示されている。この結果の妥当性が確認されれば、臨床試験やガイドラインにおけるアウトカム指標に血清アルブミン値を加わることになるかもしれない。
2報目は、メキシコからの報告で、SLE患者における肺炎では、原因微生物が通常とは異なることが多く、特性に合わせた抗菌剤治療の必要性が示唆されている。さらに、肺炎の予後不良因子もSLE患者では一般の患者とは異なっており、注意が喚起されている。
Summary based on article by Domingues V*, et al. Lupus Sci Med 2018; 5: e000271.
* NYU Division of Rheumatology, NYU Medical Center, New York, USA
Summary based on article by García-Guevara G*, et al. Lupus 2018; 27(12): 1953-1959.
* Division of Medicine, Instituto Nacional de Ciencias Médicas y Nutrición Salvador Zubirán, Mexico City, Mexico
注:本文献要旨集は、医療関係者にとって有益な情報を提供するための資材です。2018年8月~2018年11月の間に発表された全身性エリテマトーデスに関連する医学論文の中から監修ドクターが客観的に2報選定し、Springer Healthcareの医学ライターが作成したサマリーです。サノフィ株式会社は論文選定、原稿作成には関与していません。