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基礎免疫論文サマリー
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免疫研究のエキスパートが厳選した、SLEをはじめとする自己免疫疾患に関連する最新の論文をご紹介します。
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基礎免疫論文サマリー

免疫研究

免疫研究のエキスパートが厳選した、SLEをはじめとする自己免疫疾患に関連する
最新の論文をご紹介します。(※本論文は監修医が客観的に選定しております)

監修:大阪大学大学院医学系研究科
呼吸器・免疫内科学 教授 熊ノ郷 淳 先生

Interferon inducible X-linked gene CXorf21 may contribute to sexual dimorphism in Systemic Lupus Erythematosus

Odhams C.A., et al. Nat Commun 2019; 10:2164.

この論文のポイント
全身性エリテマトーデス(SLE)の発症頻度は女性で圧倒的に高く、性差が存在するが、性染色体のX染色体上には、SLEの発症と関連する遺伝子座(Xp21.2)が見つかっている。本研究では、遺伝学的・分子生物学的手法を用いて、Xp21.2上のCXorf21という機能未知遺伝子内に存在するSNP(rs887369)をSLEの発症と関連する領域として同定した。cis-eQTL解析により、このSNPがシトシン[C]の場合には、アデニン[A]の場合に比べて、CXorf21の発現量が上昇すること、また、CXorf21は、インターフェロン応答遺伝子の1つであり、インターフェロン刺激による発現誘導は男性よりも女性で強く生じることが明らかとなった。さらに、35歳未満のSLE患者においてSLEDAIとCXORF21の発現量に正の相関がみられたとともに、CXORF21タンパク質はSLEの病態との関連が示唆されているTLR7との共局在が認められた。インターフェロン誘導性、性差特異的な遺伝子発現を示すCXorf21が同定されたことで、SLE病態解明につながると期待される。

PLD4 is a genetic determinant to systemic lupus erythematosus and involved in murine autoimmune phenotypes

Akizuki S., et al. Ann Rheum Dis 2019; 78: 509-518.

この論文のポイント
全身性エリテマトーデス(SLE)発症の遺伝的要因の探索として、これまでに複数のゲノムワイド関連解析(GWAS)が行われ、多くのSLE感受性遺伝子座が見つかっているが、その解析は未だ途上である。本研究では、日本人のSLE患者を対象としたGWASデータを集め、過去に収集された同様のデータセットと合わせてメタアナリシスを行った。SLE患者1,363例および対照者5,536例分のデータを解析した結果、ホスホリパーゼD4(PLD4)遺伝子近傍のSNPが、SLE感受性と関連することが明らかとなった。実際、このリスクアレルは患者における抗dsDNA抗体の産生と関連していた。さらに、Pld4変異型マウスの表現型を解析したところ、脾腫やリンパ節腫大、B細胞数の増加、抗核抗体や抗dsDNA抗体の産生など、SLEの病態に類似した自己免疫亢進が認められた。本解析結果から、PLD4遺伝子がSLEの発症に関与する遺伝的要因の1つであり、SLEの病態においても機能的な意義を持っている可能性があることが示された。更なる解析により、分子レベルのSLE治療の開発が期待される。

Quantifying in situ adaptive immune cell cognate interaction in humans

Liarski V. M., et al. Nat Immunol 2019; 20: 503-513.

この論文のポイント
ヒトの疾患におけるT細胞や樹状細胞の挙動を直接解析することは技術的に難しい。本研究では、抗原提示のプロセスにおけるT細胞と樹状細胞との接触および抗原提示の際のT細胞の形態変化を固定サンプルで捉え、細胞間コミュニケーションを定量的に評価する解析手法の開発を試みた。
深層畳み込みニューラルネットワーク(DCNN)法を利用し、組織切片上の細胞種を認識して細胞間距離や細胞の形を評価するcell-distance mapping version3(CDM3)を構築した。CDM3により、マウスのT細胞と樹状細胞が接触による相互作用(cognate interaction)を行っているか否か、2光子励起顕微鏡と同等の精度で識別可能となった。さらに、CDM3を用いてヒトループス腎炎の炎症部位のサンプルを解析した結果、骨髄系樹状細胞(mDC)によるCD4陽性T細胞への抗原提示が認められ、さらに、形質細胞様樹状細胞(pDC)も重要な抗原提示細胞であることが示唆された。本解析手法は、細胞間相互作用の研究に広く応用できるため、今後はヒトの獲得免疫のプロセスをはじめ、自己免疫疾患、感染症やがんといった病態を生体内で解明する手法として期待される。

Apoptosis-derived membrane vesicles drive the cGAS-STING pathway and enhance type I IFN production in systemic lupus erythematosus

Kato Y, et al. Ann Rheum Dis 2018; 77: 1507-1515

この論文のポイント
SLEの病態にはI型インターフェロン(IFN-Ⅰ)の過剰産生が関与しているが、この過剰産生のメカニズムは 十分解明されていなかった。本研究ではIFN-Ⅰ活性を測定する細胞ベースのレポーターシステムを確立し、SLE患者の血清を解析した結果、SLE患者の血清中に存在するアポトーシス由来膜小胞(AdMV)が、cGAS-STING経路注1を介してIFN-Ⅰ産生を誘導していることを明らかにした。cGAS-STING経路はインターフェロン誘導遺伝子(ISG)の発現上昇にも重要な役割を果たしており、個々のSLE患者のISG発現誘導活性は疾患活動性と相関していた。cGAS-STING経路は新たなSLEの治療標的として期待される。また、確立されたレポーターシステムは、高いISG発現誘導活性を示すSLE患者の層別化につながることが期待される。

A protective Langerhans cell-keratinocyte axis that is dysfunctional in photosensitivity

Shipman SM, et al. Sci Transl Med 2018; 10: eaap9527

この論文のポイント
SLEなどの自己免疫疾患に特徴的な皮膚症状の1つに光線過敏症がある。光線過敏症の病態メカニズムはよくわかっていなかったが、本研究において、表皮に存在するランゲルハンス細胞注1(LC)の欠失マウスやSLEモデルマウス、培養細胞を用いた解析から、LCを介したケラチノサイトの上皮増殖因子受容体(EGFR)シグナルによる紫外線(UV)誘発性アポトーシスの抑制メカニズムが、SLE患者の病態において重要な役割を担っていることが示唆された。この病態メカニズムを応用し、SLEモデルマウスにEGFRリガンドを局所投与することで、UV照射後に生じる皮膚病変の軽減が示された。今後、光線過敏症の治療法としてEGFRリガンドの有効性が期待される。

C1q restrains autoimmunity and viral infection by regulating CD8+ T cell metabolism

Ling G. S., et al. Science 2018; 360: 558-563.

この論文のポイント
補体系の古典経路の起点となるC1qは、その機能欠損によりSLEの発症と関連することが知られているが、その下流にあるC3の機能欠損がSLEの発症原因とならないことから古典経路の異常だけでは説明ができなかった。
本研究は、C1qがCD8+T細胞のミトコンドリア代謝を調節することにより自己免疫を抑制するとともに、ウイルス感染による慢性的な自己免疫反応に伴うループスを防いでいることを明らかにした初めての報告である。

Translocation of a gut pathobiont drives autoimmunity in mice and humans

Vieira SM, et al. Science 2018; 359: 1156-1161

この論文のポイント
腸内細菌は、自己免疫疾患の病態形成に何らかの役割を持っているとされてきたが、具体的なメカニズムについては不明であった。本論文では、SLEモデルマウスを用いた解析から、腸内細菌の1種Enterococcus gallinarumが腸管のバリア機能低下に伴い肝臓や腸管膜リンパ節へと移行し、この体内移行によって有害な自己免疫応答が引き起こされることが明らかにされた。また、抗菌薬や本菌に対するワクチンを投与することで、死亡率を低下できることも示している。さらに、SLEや自己免疫性肝炎(AIH)といった自己免疫疾患患者の肝臓生検組織からも、E. gallinarumのDNAが検出されたことから、腸内細菌の体内移行がこのような疾患の一因になっていることが示唆された。

Affinity maturation shapes the function of agonistic antibodies to peptidylarginine deiminase type 4 in rheumatoid arthritis

Shin J, et al. Ann Rheum Dis 2018; 77:141

この論文のポイント
シトルリン化酵素peptidylarginine deiminase type 4(PAD4)に対する自己抗体は、関節リウマチ(RA)患者における関節破壊および間質性肺疾患の進行と強く関連している。本論文では抗PAD4抗体のうちアゴニスティック活性を持つクローンが、抗体遺伝子の体細胞高頻度突然変異(SHM)により生み出される抗体の親和性成熟によって作られていることを示した。

Prostaglandin D2 amplifies lupus disease through basophil accumulation in lymphoid organs

Pellefigues C, et al. Nat Commun. 2018; 9(1): 725.

この論文のポイント
本論文では、全身性エリテマトーデス(SLE)患者の好塩基球において、プロスタグランジンD2(PGD2)の自己分泌とその受容体(PTGDR)の高発現によりケモカイン受容体の活性化が誘導され、ケモカインを発現する二次リンパ器官(SLO)に好塩基球が集積すること、好塩基球のリンパ組織への集積によって抗体産生が促進し、ループス発症が早まることが示された。また、PGD2/PTGDRシグナルをターゲットとするSLE治療の可能性も提示されている。

Commensal orthologs of the human autoantigen Ro60 as triggers of autoimmunity in lupus

Teri M. Greiling, et al. Science Translational Medicine 2018; 10(434)

この論文のポイント
ループス患者では発症初期にRNA結合性タンパク質Ro60に対する抗体を含む多くの自己抗体が自己タンパク質との免疫応答を起こす(自己免疫反応)。本論文は、ループス患者での常在細菌のRo60オルソログが自己免疫発症の引き金となり、ループスの病態に関与していることを明らかにした。

IL-6/STAT3 pathway induced deficiency of RFX1 contributes to Th17-dependent autoimmune diseases via epigenetic regulation

Zhao M, et al. Nat Commun 2018; 9: 583.

この論文のポイント
CD4+ヘルパーT細胞サブセットの Th17細胞は、IL-17産生を特徴とするT細胞サブセットであり、関節リウマチや多発性硬化症など種々の自己免疫疾患の発症への関与が指摘されている。本論文は、IL-6刺激により RFX1 のダウンレギュレーションが生じ、Th17細胞分化が促進されることを示すとともに、過剰産生されたIL-17を介したエピジェネティックな機序がSLEの発症病態に関与することを示した。このことは、RFX1がTH17細胞の分化および自己免疫疾患における負の調節因子であることを意味している。
SAJP.HYCH.19.01.0018