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ALS海外文献

臨床・診断

FUS免疫反応性封入体は、孤発性およびSOD1非関連家族性筋萎縮性側索硬化症に共通する特徴である FUS-immunoreactive inclusions are a common feature in sporadic and non-SOD1 familial amyotrophic lateral sclerosis.

Deng HX, Zhai H, Bigio EH, Yan J, Fecto F, Ajroud K, Mishra M, Ajroud-Driss S, Heller S, Sufit R, Siddique N, Mugnaini E, Siddique T.
Ann Neurol. 2010;67(6):739-748.

抄録・解説 LTTプログラム委員 尾野精一先生

目的

筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、運動ニューロンが変性する致死性疾患である。ALS症例の多くは孤発性(SALS)であるが、約5~10%は家族性(FALS)である。最近のいくつかの研究で、FALSの約4~5%および一部の明確なSALS症例は、FUSの遺伝子変異が原因であることが示された。変異FUSを介するALSの発症機序並びにFUS非関連ALSでのFUSの潜在的役割についてはまだ検討中である。そこで、様々なタイプのALS、その他の神経変性疾患、ならびに神経疾患のない対照例でのFUSの翻訳後の関与を検討した。

方法

SALS患者52例、認知症を伴うALS(ALS/dementia)患者10例、およびFALS患者16例を含む78例のALS患者から死後に提供された脊髄を免疫染色により分析した。また、前頭側頭葉変性症(FTLD)を有する、または有さない症例22例から死後提供された脳または脊髄についても分析し、計100例について検討した。

結果

脊髄切片の免疫組織化学検査の結果、SALS患者52例、ALS/dementia患者10例、TDP43またはFUS遺伝子変異を伴うFALS患者各1例ずつ、およびその他遺伝子異常不明のFALS患者10例で脊髄前角ニューロンにFUS免疫反応陽性封入体が認められた。一方SOD1遺伝子変異を伴うALS患者4例ならびにSOD1-ALSトランスジェニックマウスではFUS陽性封入体は認められなかった。FUS陽性封入体は、TDP43、p62、およびユビキチンに対する抗体にも免疫反応陽性であった。検査したFUS抗体9抗体中3抗体がFUS陽性封入体を認識した。またFUS陽性封入体の検出は、用いる抗原賦活化法の影響を受ける可能性があると考え、3種類の抗原賦活化法を比較したところ、high-pressure decloaking chamber法でのみ検出が可能であり、煮沸法やマイクロウェーブ照射法では検出できなかった。FUS陽性封入体の検出には、抗体の感度に加えて特定の抗原賦活化法が重要と思われる。

解釈

FUSの遺伝子変異は、FALSおよびSALSのごく一部しか説明するものではないが、我々のデータから、FUS/TDP43/ユビキチン/p62陽性封入体は、SALS、ALS/dementia、FUSまたはTDP43遺伝子変異関連FALS、およびその他のSOD1陰性FALSに共通する特徴であることが示された。これらのデータは、SALS、ALS/dementia、FUSまたはTDP43遺伝子変異関連FALS、およびその他のSOD1陰性FALSが、各疾患で最初の病因は異なる可能性はあるものの、運動ニューロン変性発症機序の下流経路は共通している可能性のあることを示唆している。また我々のデータは、SOD1関連ALSが、SALSやその他タイプのFALSとは異なる発症経路を有する可能性があることも示している。

参考文献

1) 小林 禅ら:FTLDとALSを再び結びつけたFUS 第4のproteinopathyの可能性. Dementia Japan 24(1):74-83,2010
2) 村山繁雄ら:前頭側頭型認知症の診断と病理. Cognition and Dementia 9(1):44-50,2010

SAJP.RIL.19.08.2147

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