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ALS海外文献

基礎

C9ORF72 の非翻訳領域におけるGGGGCC 6塩基反復配列の異常伸長は9番染色体短腕に連鎖した家族性FTD/ALSの発症に関与する Expanded GGGGCC hexanucleotide repeat in noncoding region of C9ORF72 causes chromosome 9p-linked FTD and ALS.

DeJesus-Hernandez M, Mackenzie IR, Boeve BF, Boxer AL, eo Baker M, Rutherford NJ, Nicholson AM, Finch NA, Flynn H, Adamson J, Kouri N, Wojtas A, Sengdy P, Hsiung GY, Karydas A, Seeley WW, Josephs KA, Coppola G, Geschwind DH, Wszolek ZK, Feldman H, Knopman DS, Petersen RC, Miller BL, Dickson DW, Boylan KB, Graff-Radford NR, Rademakers R.
Neuron. 2011;72:245-256.

抄録・解説 LTTプログラム委員 郭 伸先生

要旨

9番染色体短腕(9p21)に連鎖する常染色体優性遺伝性の前頭側頭葉変性症(FTD)型認知症を伴う筋萎縮性側索硬化症(FTD/ALS)の家系が、いくつか報告されている。今回著者らは、9番染色体短腕との連鎖が確認されているFTD/ALSの大家系(VSM-20)において、疾患と強く関連するchromosome 9 open reading frame 72(C9ORF72 )遺伝子の非翻訳領域におけるGGGGCC 6塩基反復配列の異常伸長について報告する。VSM-20家系内の罹患者全例で、反復配列の異常伸長が認められたが、健康対照集団では認められなかった。またこの同じ反復配列が、著者らが調査したFTD/ALS混合表現型とTDP-43病理を有する患者集団の多くで確認された。大規模な臨床集積研究の結果、C9ORF72 反復配列の異常伸長は、臨床的FTD患者においては、孤発性FTD例203例中6例(3.0%)、家族性FTD例171例中20例(11.7%)で、また臨床的ALS患者においては、孤発性ALS(SALS)例195例中8例(4.1%)、家族性ALS(FALS)例34例中8例(23.5%)で確認された。他の遺伝子変異(SOD1、TARDBP、FUS )との直接比較の結果、ALS患者では、SALS、FALSを問わず、当該反復配列の異常伸長が最も頻度の高い遺伝子変異であることが示された。また家族性FTDにおいても、比較した他の遺伝子変異(GRN、MAPT )と比べて反復配列の異常伸長が最も頻度の高い遺伝子異常であることが示された。反復配列の異常伸長により、選択的スプライシングを受けた1つのC9ORF72 転写産物が欠失していること、また異常伸長を示す患者の前頭葉および脊髄の細胞の25%で、核内にRNA fociの形成が確認された(反復配列を持たない対照の組織では1%未満)ことから、複数の疾病メカニズムが示唆される。今回の結果から、C9ORF72 内の反復配列の異常伸長は、FTD、ALS両疾患の主要な原因であることが示された。

まとめ

9番染色体短腕に連鎖するFTD/ALSの病因として非翻訳領域におけるGGGGCC 6塩基反復配列の異常伸長を特定し、この遺伝子異常が今日までに確認されたALSおよびFTDの原因として最も頻度が高いことを示した。今回の結果から、C9ORF72 の選択的スプライシングによる転写物の1つの発現が抑制されること(loss of function機序)や、毒性のRNA foci形成によるRNAを介したgain of function機序を含め、複数の疾患機序が反復配列の異常伸長に関連していることが示唆される。それぞれの機序が神経変性や病的TDP-43凝集にどのように関わっているかを探索するには、さらなる分子的検討が必要である。さらに、表現型の範囲やこれら疾患の有病率を明確にするため、またこの反復配列伸長がCAG反復配列伸長のように表現促進現象を引き起こすか、自然突然変異によりもたらされる可能性を検討するためには、C9ORF72でGGGGCC 6塩基反復配列の異常伸長を示すFTDおよびALSのより大規模な患者集団における評価が必要である。

SAJP.RIL.19.08.2147

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