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ケア

筋萎縮性側索硬化症における食事摂取と機能の関連 Association between dietary intake and function in amyotrophic lateral sclerosis.

Nieves JW, et al.
JAMA Neurol. 2016; 73: 1425-1432.

抄録・解説 LTTプログラム委員 齋藤豊和先生

背景

筋萎縮性側索硬化症(ALS)の発症および進行に関わる因子として、栄養や環境の役割が注目されている。炭水化物、グルタミン酸、脂肪といった主要栄養素の高摂取、また、果物や野菜の低摂取のほか、ビタミンE、ω-3系多価不飽和脂肪酸、カロチノイドといった微量栄養素の低摂取がALSのリスク増大と相関することなどが報告されている。これまでに示唆されていることは、酸化ストレスがALSの発症に関与し、食事は酸化ストレスの増減に影響しうるということである。しかし、これまでの研究はALS診断から間もない時期の身体機能や呼吸機能と栄養や食事との関連を評価していない。本研究ではこの点に着目してコホート研究の解析を行った。

方法

ALS Multicenter Cohort Study of Oxidative Stress(ALS COSMOS)研究では、症状の発現から18ヵ月以内に改訂El Escorial基準またはAwaji基準によりALSと診断された患者を、米国のALSクリニック16施設において2008年3月から2013年2月にかけて登録している。同研究では食事について、Food Frequency Questionnaire(FFQ)の質問項目を減らした簡略版を使用して調査を行っており、今回、抗酸化物質と考えられる食事や栄養素に注目した解析を加えた。改訂版ALS機能評価スケール(ALSFRS-R)による身体機能評価、%努力肺活量(FVC)による呼吸機能評価を主要アウトカムとし、食事との関連についてベースラインデータの横断的解析を行った。

結果

ALS COSMOS研究には355例のALS患者が登録され、このうち上記のデータが揃う302例を解析対象とした。患者背景は、男性178例/女性124例、年齢中央値63.2歳(四分位範囲(以下同)55.5~68.0歳)、BMI中央値26.0kg/m2(23.5~28.5kg/m2)、有病期間中央値0.94年(0.65~1.25年)などであった。ベースライン評価によると、およそ半数の患者が早期に摂食上の問題や食物による窒息を経験していたが、球麻痺型発症は85例(27.7%)、脊髄型発症が216例(71.5%)であった。ALSFRS-Rスコア中央値は37(33~41)、%FVC中央値は82%(66~97%)であった。
年齢、性別、BMI、有病期間、カロリー摂取量を調整した回帰分析の結果、カロチン(αカロチン、βカロチン、クリプトキサンチン、ルテイン・ゼアキサンチン、リコピン)や抗酸化物質(上記カロチンに加えビタミンC、ビタミンE、セレン、ケルセチン)の摂取量指数とALSFRS-Rスコアや%FVCに正の相関が認められた。
各栄養素を個別に見ても、個々の栄養素間の相関が強いため、どの栄養素が最もALSFRS-Rスコアや%FVCと関連が強いのかは不明である。そこで、各栄養素の摂取量を分位値によりスコア化のうえ、栄養素をグループ化して回帰分析を行い、そのなかで重みを付けるweighted quantile sum(WQS)回帰分析を実施した。その結果、%FVCとの正の相関において重要な微量栄養素としては、リコピン、ω-3脂肪酸、ω-6脂肪酸、イソフラボン、野菜由来食物繊維、穀物由来食物繊維の6種類が挙げられた。また、ALSFRS-Rスコアとの正の相関において重要な食物としては、果物、卵、魚、鶏肉、ナッツ・種子、有益な油、その他の野菜が挙げられた。%FVCとの正の相関において重要な食物としては、ヨーグルト、果物、魚、鶏肉、ナッツ・種子、有益な油、その他の野菜が挙げられた。一方、ALSFRS-Rスコアとの負の相関において重要な食物としては、牛乳、牛肉、豚肉、加工肉が挙げられた。

考察

抗酸化物質、カロチン、果物、野菜の摂取は、診断後早期のALS患者の身体機能や呼吸機能が高いことと関連が認められた。また、WQS回帰分析は個々の栄養素同士が強く相関する食事の評価に有用な手段であることがわかった。ALS患者の栄養管理に携わる者は、カロチンなどの抗酸化物質や食物繊維が豊富な果物や野菜の摂取推奨を検討すべきである。

SAJP.RIL.19.08.2147

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