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ケア

アメリカンインディアンとアラスカ原住民における筋萎縮性側索硬化症の発症率 Incidence of amyotrophic lateral sclerosis among American Indians and Alaska natives.

Gordon PH, Mehal JM, Holman RC, Rowland LP, Rowland AS, Cheek JE.
JAMA Neurol, 2013;70:476-480.

抄録・解説 LTTプログラム委員 岩崎泰雄先生

背景

筋萎縮性側索硬化症(ALS)は原因不明の神経変性疾患である。運動ニューロンが障害され、発症後平均30ヵ月で死亡する。先進国での発症率は人口10万人あたり1.2~4.0人であるが、アメリカ少数民族における発症率に関する研究はほとんどない。少数民族においてALSおよび運動ニューロン疾患(MND)についてより包括的に評価することは、これら特発性疾患の病因解明の手掛かりとなる可能性がある。また、特別居留地のアメリカンインディアンとアラスカ原住民(AI/AN)および医療関係者に対する教育プログラムの提供により、これら疾患への認知・理解・診断および治療を改善できるかもしれない。また、現在進行形の疾患感受性遺伝子に関する研究において、AI/ANのような特定の人種グループを研究することは、新たな突然変異の同定につながる可能性もある。
本研究の目的はインディアンヘルスサービス(IHS)のヘルスケアシステムを受けているAI/ANにおけるALSおよびMNDの発症率および有病率を評価することで、これら疾患に対する理解を深めることである。

研究デザイン

2002~2009年までの期間にIHSのヘルスケアを受けたAI/ANのうち、ALSおよびMNDに関する入院、外来受診に関するIHSが提供した電子カルテデータを分析し、人口10万人あたりの粗発症率・年齢調整発症率、粗有病率・年齢調整有病率を算出した。発症率評価の対象は、2001年には来院または入院せず、かつ2002~2009年の間に2回以上これら疾患で受診または入院した患者とした。また有病率は調査期間の中間点(2005年12月31日)において算出し、2001~2005年の間に2回以上これら疾患で受診または入院し、2005年12月31日時点で生存していると思われる患者を対象とした。データは年齢(20歳未満、20~49歳、50~64歳、65歳以上)、性別、調査期間(2002~2005年、2006~2009年)、地域別(East、Northern Plains East、Northern Plains West、Alaska、Southern Plains、Southwest、West)に検討した。

結果

調査期間中71人がALSと診断され、平均粗発症率は10万人・年あたり0.63人、年齢調整発症率は0.92人であった。初診時の中央年齢値は56.0歳であり、男性より女性で高かった(女性62.0歳、男性55.0歳、p=0.06)。性別、期間による粗発症率の差はみられなかった。粗発症率は地域により有意に異なり、West(0.44人)よりEast(1.53人)とNorthern Plains East(1.61人)で高かった(それぞれ、p=0.04、p=0.01)。年齢特異的発症率は、70~74歳で高かった。粗有病率および年齢調整有病率はそれぞれ2.00人および4.12人であり、年齢・性別・地域による差はみられなかった。MNDの粗発症率および年齢調整発症率はそれぞれ人口10万人・年あたり1.08人および1.50人であった。初診時の中央年齢値は55.5歳であり、女性で57.0歳、男性で54.0歳であった(p=0.14)。粗有病率および年齢調整有病率はそれぞれ3.92人および7.06人であった。年齢特異的発症率は年齢とともに上昇したが、性別や地域による差はみられなかった。年間発症率は調査期間中に変化は認められなかった。

結論

AI/ANにおけるALS発症率は白人より低かったが、この知見は他の少数民族に関する報告と合致した。コミュニティに基づく研究はこれら知見を確実なものとし、AI/ANでのALS発症率が低い原因を調査するために重要である。

SAJP.RIL.19.08.2147

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