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遅発型ポンぺ病(糖原病II型)の概要とマイオザイムの臨床成績 【監修】国立精神・神経医療研究センター病院 名誉院長 埜中 征哉

ポンぺ病(糖原病II型)とは

ポンぺ病は、先天的な遺伝子異常により酸性α-グルコシダーゼ(GAA)の欠損または活性低下により引き起こされる疾患です。
ポンぺ病(糖原病II型)とは ポンぺ病(糖原病II型)の病型と症状・所見

ポンぺ病による筋肉変性の進行

遅発型ポンペ病は、ライソゾームにグリコーゲンが蓄積することにより、筋線維が損傷し、筋力低下を呈します。
発症年齢や進行速度は様々ですが、未治療の場合、発症年齢が低いほど重症化する傾向があります。

遅発型ポンぺ病に対する酵素補充療法の有用性

ポンぺ病と診断された場合は、マイオザイム点滴静注用50mg〔アルグルコシダーゼ アルファ (遺伝子組換え)〕による酵素補充療法による治療を行います。
6分間歩行試験における歩行距離(海外データ)<海外第III相試験(LOTS※試験)>[主要評価項目]※Late Onset Treatment Study

主要評価項目である投与78週時点での6分間歩行試験における歩行距離は、プラセボ群ではベース ラインより平均3.0m減少したのに対し、
マイオザイム投与群では平均25.1m増加し、治療効果の推定 差分は28.1mと有意に改善しました(p=0.03 無作為化層とベースラインスコアによって調整したベースラインからの変化を共変量とするANCOVA)。

対 象 8歳以上で歩行可能かつ侵襲的呼吸管理を行っていない小児型及び成人型ポンぺ病(糖原病II型)患者90例(成人86例、小児4例)
方 法 多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験。マイオザイム20mg/kg(n=60)またはプラセボ(n=30)を隔週、78週間静脈内投与し、マイオザイムの有効性および安全性を検討した。
主要評価項目 6分間歩行テストにおける歩行距離、立位での努力性肺活量(FVC)対予測値%
副次評価項目 脚および腕の定量的筋力検査(QMT)スコア対予測値%、最大吸気圧、最大呼気圧
安全性 マイオザイム群でのみ発現した有害事象は、アナフィラキシー反応や蕁麻疹、潮紅、多汗、胸部不快感、嘔吐、血圧上昇といった投与関連反応であった(各々、5~8%発現)。 マイオザイム群の3例(5%)にアナフィラキシー反応が発現し、うち2例でマイオザイムの投与を中止した。 マイオザイム群のうち脳底動脈瘤の治療を受けていた2例中1例が、試験中に脳底動脈血栓症に伴う脳幹虚血により死亡した。
利益相反 米国Genzyme社は本試験の実施に財政的支援を提供した。/本試験のプロトコルは米国Genzyme社が設計し、著者および第三者機関である統計センターがデータの入力を行った。/ 本試験により得られたデータの分析は、統計的計画に基づき、また、研究者の助言を得て、米国Genzyme社の社員が行った。/ 本論文の著者の一部は米国Genzyme社の社員である。/本論文の著者の一部は米国Genzyme社から財政的支援を受けている。
   
承認時評価資料、van der Ploeg AT, et al.: N Engl J Med 362(15): 1396-1406, 2010

承認時評価資料、van der Ploeg AT, et al.: N Engl J Med 362(15): 1396-1406, 2010


国立精神・神経医療研究センター病院 名誉院長 埜中 征哉

ポンぺ病(糖原病II型)は先天的な遺伝子異常による酸性α-グルコシターゼ(GAA)の欠損または活性の低下を原因とする希少疾患であるため、日常診療ではなかなか診療する機会がないかもしれません。ポンぺ病は進行性の難治性疾患として指定されているライソゾーム病に分類され、未治療の場合は死に至る疾患です。しかし、現在は酵素補充療法による治療が可能であるため、早期に診断し、治療を開始することが重要です。ポンぺ病は乳児・小児の疾患と思われがちですが、その臨床像は多様であり、発症年齢も乳児期から成人期のあらゆる年代に及びます。さらに、発症年齢が遅いほど(遅発型)、乳児型のように典型的な臨床症状を示さないため、臨床診断だけでは最終的にポンぺ病であると診断されることは稀で、診断に至るまでに長い時間がかかってしまう傾向にあります。

したがって、遅発型ポンぺ病を疑うポイントは「血清CK値上昇」、「近位筋筋力低下」、「呼吸筋筋力低下」の3つの症状であり、3つのうち1つでも当てはまり、その原因が不明である場合は、ポンぺ病の可能性を考慮して診療にあたっていただきたいと思います。

現在、「乾燥ろ紙血検査」によって、簡易かつ非侵襲的にGAA活性を測定することが可能ですので、ポンぺ病の早期発見・早期治療のために、ご活用いただければと思います。

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