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不活化ポリオワクチンの5回目接種の勧奨ポイント

不活化ポリオワクチンの4回目接種後、抗体価は時間経過によって低下するものの、
5回目接種により再び上昇します。不活化ポリオワクチンの5回目接種は任意接種ですが、保護者は任意接種ワクチンに関する知識が不十分な場合もあり、小児科医による情報提供が重要です。そこで、不活化ポリオワクチンの5回目接種を含め、任意接種ワクチンの情報提供を積極的に行われている大阪府大阪市西区のさかざきこどもクリニック 院長 坂﨑弘美先生に、保護者へ情報提供する際のポイントについてお話を伺いました。

なぜ任意接種ワクチンの接種を勧奨するのですか

疾患を予防することで、子どもたちの笑顔を守りたいからです

私が日々、子どもたちに向き合い診察しているのは、子どもたちに、元気に笑顔で過ごしてほしいからです。そのためにも予防接種を積極的にお勧めしています。予防接種を行うことで、重度の合併症が起こる可能性のある感染症や、有効な治療法がない感染症から、子どもたちを守りたいと強く思っています。ワクチンの接種を最終的に決めるのは保護者ですが、ワクチンがあるという情報を伝えることは小児科医の務めと考えています。ヒブワクチンがまだ任意接種であったときに、当院で情報提供がたまたまできず、接種をしていない子どもが、ヒブ髄膜炎を発症したことがあります。この時、ヒブワクチンの情報を事前にお話ししていれば予防できたはずと、自分を責めたことを覚えています。この経験をきっかけに、より積極的に任意接種ワクチンの情報提供をするようになりました。


任意接種ワクチンの情報提供のポイントを教えてください

はじめに「任意接種は不要」という誤解を解くことが大切です

多くの保護者は、定期接種ワクチンについてはよくご存じですが、任意接種ワクチンについては情報をあまりもっていません。「任意接種ワクチンは必要がない」、「任意接種ワクチンは接種しなくてよい」と考えている保護者もいます。まずは、任意接種ワクチンは財政上の事情から定期接種になっていないだけであり、接種が推奨されるワクチンであることをお伝えするところからはじめています。

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不活化ポリオワクチンの5回目接種についてどのようにお考えですか

子どもをポリオから守るために、接種が必要と考えています

日本では、定期接種として不活化ポリオワクチンを含む4種混合ワクチンの4回目接種までが接種されています。しかし、不活化ポリオワクチンは、4回目接種から時間が経つと抗体価が低下することが知られています。抗体価が低下すると、ポリオウイルスに感染する可能性も高まります。ポリオには、今のところ有効な治療法がなく、ワクチン接種が予防策として重要です。5回目接種を受けることにより、抗体価は再び上昇します。

イメージ画像 現在日本ではポリオは流行していませんが、世界にはまだ流行している国々があります。日本を訪れる外国人観光客も増えていますし、今後、オリンピックや万博の開催でさらに外国人観光客の数は増加することが考えられます。また、ポリオウイルスは不顕性感染があり、外国人観光客が感染に気が付かないままキャリアとなって日本を訪問することも考えられますので、ポリオウイルスが日本に持ち込まれる可能性は否定できません。不活化ポリオワクチンの5回目接種は任意接種のため接種費用が自己負担となりますが、子どもをポリオから守るため、ぜひ接種していただきたいと思います。



不活化ポリオワクチンの5回目接種に関する情報提供は、いつ行っていますか

MRワクチンの2回目定期接種のために来院したときがお勧めです

不活化ポリオワクチンの抗体価が低下する時期は4~6歳です。この時期は、MRワクチンの2回目定期接種の時期(5~6歳)と重なります。当院では、MRワクチンの2回目定期接種のために来院された際に母子健康手帳をチェックし、不活化ポリオワクチンの5回目接種が行われていなければ、同ワクチンについて必ず情報提供しています。子どもたちの多くは小学生になると丈夫になり来院機会が減少するので、MRワクチンの2回目定期接種時が、不活化ポリオワクチンの5回目接種を勧める最後のチャンスととらえて、積極的な情報提供に努めています。


任意接種ワクチンについて情報提供する際のポイントを教えてください

説明に用いたリーフレットを手渡し、必ず保護者の目を見て心を通わせながらお話しします

保護者に、感染症の概要や任意接種の重要性を口頭でお話ししただけで、すべてを理解していただくのは難しいといえます。そこで、情報提供の際は、感染症やワクチンについて説明したリーフレットをお渡ししています。イメージ画像また、説明する際は、保護者の目を見ること、任意接種ワクチンであっても接種が重要であることをしっかりお話しするように心がけています。一方的に「ワクチンを打ってください」というだけでは反発されてしまうこともありますので、ワクチンの特徴や接種の必要性を合わせて伝えることが大切です。また、当院がある大阪市西区は、テーマパークが近いという場所柄もあり、外国人観光客が身近にいるため、「外国人観光客が多い地域だからこそ予防が大切」とお話ししています。子どもが置かれている環境に寄り添うような声かけも、保護者の心に届くポイントの一つかもしれません。



ワクチンの情報提供において、スタッフの方と工夫されている点はありますか

当院のスタッフ全員が同じレベルの情報を提供できる体制にしています

基本的に、情報提供は私自身で行っていますが、忙しい時は看護師にも説明してもらいます。啓発ポスターを見た人などが、電話で問い合わせをしてくる場合もあるので、受付スタッフも説明できるようにしています。私が保護者へ説明している内容を普段からスタッフも聞いていますし、外部の講演会などで得た情報もお昼休みなどの時間に積極的に共有しているので、当院のスタッフなら誰でも同じレベルの情報を提供できる体制です。実際に、スタッフからポリオウイルス感染の可能性や追加接種の必要性について説明を受けた方も、不活化ポリオワクチンの5回目接種を多く希望されています。


今後、どのような取り組みを考えていらっしゃいますか

ワクチンの情報提供から予防接種の予約受付までを一貫して行える
「予防接種の予約システム」を導入しました

2019年3月に「予防接種の予約システム」を導入しました。このシステムでは、子どもの情報を一度登録しておくと、予防接種が必要な時期に、保護者へワクチンの情報が自動的にメールで送られ、その場で接種の予約ができます。例えば、4月から年長さんになるお子さんの保護者には、MRワクチンの定期接種の連絡と、ムンプス、DPT、不活化ポリオワクチンの任意接種の勧奨が記載されたメールが送られます。情報提供から予約受付まで一貫した仕様にする背景には、任意接種ワクチンを接種したいと考えた保護者がすぐに行動に移せるようにとの思いがあります。



不活化ポリオワクチンの5回目接種の勧奨ポイント

1 任意接種ワクチンについて正しい理解を促す
  > 保護者は任意接種ワクチンについて理解不足
  > 「任意接種は不要」という誤解を解く
2 5回目接種が重要な理由を具体的に伝える
  > 不活化ポリオワクチンの抗体価は、接種後の時間経過に伴い低下する
  > ポリオには有効な治療法が存在しない
  > 外国人観光客の増加に伴い感染機会が増える
3 MRワクチンの2回目定期接種時に情報提供する
  > 不活化ポリオワクチンの4回目接種後、抗体価が低値となるのは4~6歳である
  > 4~6歳は、MRワクチンの2回目定期接種の時期(5~6歳)と重なる
  > 子どもは、小学生になると来院機会が減る
4 保護者に伝わる話し方をする
  > 子どもが置かれている環境に寄り添った声かけをする
  > 目をしっかり見て話す
  > 言葉に思いを込める
SPJP.IPV.19.07.0139

不活化ポリオワクチンの5回目追加接種の勧奨ポイント

不活化ポリオワクチンの4回目接種後、抗体価は時間経過によって低下するものの、5回目接種により再び上昇します。不活化ポリオワクチンの5回目接種は任意接種ですが、保護者は任意接種ワクチンに関する知識が不十分な場合もあり、小児科医による情報提供が重要です。そこで、不活化ポリオワクチンの5回目接種を含め、任意接種ワクチンの情報提供を積極的に行われている大阪府大阪市西区のさかざきこどもクリニック院長 坂﨑弘美先生に、保護者へ情報提供する際の坂﨑 弘美 先生ポイントについてお話を伺いました。
さかざきこどもクリニック 院長 坂﨑 弘美 先生

なぜ任意接種ワクチンの接種を勧奨するのですか

疾患を予防することで、子どもたちの笑顔を守りたいからです

私が日々、子どもたちに向き合い診察しているのは、子どもたちに、元気に笑顔で過ごしてほしいからです。そのためにも予防接種を積極的にお勧めしています。予防接種を行うことで、重度の合併症が起こる可能性のある感染症や、有効な治療法がない感染症から、子どもたちを守りたいと強く思っています。ワクチンの接種を最終的に決めるのは保護者ですが、ワクチンがあるという情報を伝えることは小児科医の務めと考えています。ヒブワクチンがまだ任意接種であったときに、当院で情報提供がたまたまできず、接種をしていない子どもが、ヒブ髄膜炎を発症したことがあります。この時、ヒブワクチンの情報を事前にお話ししていれば予防できたはずと、自分を責めたことを覚えています。この経験をきっかけに、より積極的に任意接種ワクチンの情報提供をするようになりました。


任意接種ワクチンの情報提供のポイントを教えてください

はじめに「任意接種は不要」という誤解を解くことが大切です

多くの保護者は、定期接種ワクチンについてはよくご存じですが、任意接種ワクチンについては情報をあまりもっていません。「任意接種ワクチンは必要がない」、「任意接種ワクチンは接種しなくてよい」と考えている保護者もいます。まずは、任意接種ワクチンは財政上の事情から定期接種になっていないだけであり、接種が推奨されるワクチンであることをお伝えするところからはじめています。

イメージ画像

不活化ポリオワクチンの
5回目接種についてどのようにお考えですか

子どもをポリオから守るために、接種が必要と考えています

日本では、定期接種として不活化ポリオワクチンを含む4種混合ワクチンの4回目追加接種までが接種されています。しかし、不活化ポリオワクチンは、4回目追加接種から時間が経つと抗体価が低下することが知られています。抗体価が低下すると、ポリオウイルスに感染する可能性も高まります。ポリオには、今のところ有効な治療法がなく、ワクチン接種が予防策として重要です。5回目接種を受けることにより、抗体価は再び上昇します。

現在日本ではポリオは流行していませんが、世界にはまだ流行している国々があります。日本を訪れる外国人観光客も増えていますし、今後、オリンピックや万博の開催でさらに外国人観光客の数は増加することが考えられます。また、ポリオウイルスは不顕性感染があり、外国人観光客が感染に気が付かないままキャリアとなって日本を訪問することも考えられますので、ポリオウイルスが日本に持ち込まれる可能性は否定できません。不活化ポリオワクチンの5回目接種は任意接種のため接種費用が自己負担となりますが、子どもをポリオから守るため、ぜひ接種していただきたいと思います。

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不活化ポリオワクチンの
5回目接種に関する情報提供は、いつ行っていますか

MRワクチンの2回目定期接種のために来院したときがお勧めです

不活化ポリオワクチンの抗体価が低下する時期は4~6歳です。この時期は、MRワクチンの2回目定期接種の時期(5~6歳)と重なります。当院では、MRワクチンの2回目定期接種のために来院された際に母子健康手帳をチェックし、不活化ポリオワクチンの5回目接種が行われていなければ、同ワクチンについて必ず情報提供しています。子どもたちの多くは小学生になると丈夫になり来院機会が減少するので、MRワクチンの2回目定期接種時が、不活化ポリオワクチンの5回目接種を勧める最後のチャンスととらえて、積極的な情報提供に努めています。


任意接種ワクチンについて
情報提供する際のポイントを
教えてください

説明に用いたリーフレットを手渡し、必ず保護者の目を見て心を通わせながらお話しします

保護者に、感染症の概要や任意接種の重要性を口頭でお話ししただけで、すべてを理解していただくのは難しいといえます。そこで、情報提供の際は、感染症やワクチンについて説明したリーフレットをお渡ししています。また、説明する際は、保護者の目を見ること、任意接種ワクチンであっても接種が重要であることをしっかりお話しするように心がけています。一方的に「ワクチンを打ってください」というだけでは反発されてしまうこともありますので、ワクチンの特徴や接種の必要性を合わせて伝えることが大切です。また、当院がある大阪市西区は、テーマパークが近いという場所柄もあり、外国人観光客が身近にいるため、「外国人観光客が多い地域だからこそ予防が大切」とお話ししています。子どもが置かれている環境に寄り添うような声かけも、保護者の心に届くポイントの一つかもしれません。

イメージ画像

ワクチンの情報提供において、
スタッフの方と工夫されている点はありますか

当院のスタッフ全員が同じレベルの情報を提供できる体制にしています

基本的に、情報提供は私自身で行っていますが、忙しい時は看護師にも説明してもらいます。啓発ポスターを見た人などが、電話で問い合わせをしてくる場合もあるので、受付スタッフも説明できるようにしています。私が保護者へ説明している内容を普段からスタッフも聞いていますし、外部の講演会などで得た情報もお昼休みなどの時間に積極的に共有しているので、当院のスタッフなら誰でも同じレベルの情報を提供できる体制です。実際に、スタッフからポリオウイルス感染の可能性や追加接種の必要性について説明を受けた方も、不活化ポリオワクチンの5回目接種を多く希望されています。


今後、どのような取り組みを
考えていらっしゃいますか

ワクチンの情報提供から予防接種の予約受付までを一貫して行える
「予防接種の予約システム」を導入しました

2019年3月に「予防接種の予約システム」を導入しました。このシステムでは、子どもの情報を一度登録しておくと、予防接種が必要な時期に、保護者へワクチンの情報が自動的にメールで送られ、その場で接種の予約ができます。例えば、4月から年長さんになるお子さんの保護者には、MRワクチンの定期接種の連絡と、ムンプス、DPT、不活化ポリオワクチンの任意接種の勧奨が記載されたメールが送られます。情報提供から予約受付まで一貫した仕様にする背景には、任意接種ワクチンを接種したいと考えた保護者がすぐに行動に移せるようにとの思いがあります。



不活化ポリオワクチンの
5回目接種の勧奨ポイント

1 任意接種ワクチンについて正しい理解を促す
  > 保護者は任意接種ワクチンについて理解不足
  > 「任意接種は不要」という誤解を解く
2 5回目接種が重要な理由を具体的に伝える
  > 不活化ポリオワクチンの抗体価は、接種後の時間経過に伴い低下する
  > ポリオには有効な治療法が存在しない
  > 外国人観光客の増加に伴い感染機会が増える
3 MRワクチンの2回目定期接種時に情報提供する
  > 不活化ポリオワクチンの4回目接種後、抗体価が低値となるのは4~6歳である
  > 4~6歳は、MRワクチンの2回目定期接種の時期(5~6歳)と重なる
  > 子どもは、小学生になると来院機会が減る
4 保護者に伝わる話し方をする
  > 子どもが置かれている環境に寄り添った声かけをする
  > 目をしっかり見て話す
  > 言葉に思いを込める


SPJP.IPV.19.07.0139