文字サイズ

pv_index_title

2017年12月

pickup

株式会社ファーミック 代表取締役(薬剤師)/東京理科大学 教授(薬学博士) 上村 直樹 先生


2020年の東京オリンピック・パラリンピックを3年後に控え、第50回日本薬剤師会学術大会の都民公開講座(2017年10月9日開催)では、荻原次晴氏、中村真衣氏のお二人のトップアスリートをお迎えして、スポーツ界の話題を語っていただきました。


荻原氏は双子の兄である健司氏とともにノルディックスキー複合選手として活躍。世界選手権で団体金メダルを獲得するなどの成績を残しました。中村氏は、1996年アトランタオリンピック100m背泳ぎで4位、そして2000年シドニーオリンピックで銀メダルを獲得されました。お二人とも現在はスポーツキャスターやアドバイザーとして活躍されています。

私は、コーディネーターを務めたのですが、楽屋で中村氏と名刺交換をしたときに最初に感じたのは、力強さです。とにかく背が高く、肩幅が広く、その体型が生み出すパワーが想像できました。一方の荻原氏は、シカのように俊敏そうな体型です。中村氏は水泳に、荻原氏はノルディックスキーという種目に当てはまった体型なのだと、感心しました。

会場では、背の高いカウンターチェアが用意されており、軽く腰掛けるような形で座談会が進行したのですが、お二人はしっかり床に足がついていましたが、私は両足共に床から浮いている状態で、片足だけでも床につけるようにと、一生懸命足を伸ばしながらの進行でした。


「トップアスリートと考える スポーツ界の話題【夏と冬】」と題したこの公開講座では、夏に行われた世界水泳選手権大会を中心に今の水泳界について中村氏に解説いただき、さらに来年行われる平昌オリンピック・パラリンピックでの日本選手の活躍について、荻原氏に予測いただきました。

中でも話題となったのは、やはりドーピングについてです。荻原氏からはドーピング検査の実情が話されました。朝5時に自宅の呼び鈴が「ピンポーン」と鳴り、出ると係員が立っていて「おしっこください」と。もちろん予告なしです。トップアスリートは、ここまで厳しく管理されているのだと驚かされました。

昔、ラグビーの選手が強そうな風貌に見せたいと、髭を濃くする男性ホルモン含有の軟膏を使用してドーピング違反となった事件がありました。中村氏は、現役を引退してうれしかったことの1つは「薬が自由に飲めること」だったそうです。風邪をひけば風邪薬を自由に飲める一般の人には、この感覚はなかなかわかり得ないものです。スポーツファーマシストの資格を有していなくとも、薬剤師がアスリートのためにうっかりドーピングを防ぐ役目を果たすことが、重要だと改めて感じました。


図 東京都薬剤師会が作成し会員に配布したドーピング防止のためのツール 選手自身はドーピングに関する教育を受けているので、ある程度のことは把握しています。しかし、家族や周囲の人が、選手に代わって薬を買いに薬局に来るかもしれません。そのような場合でも薬剤師は、服用する人がアスリートかどうか確認する必要があります。 そこで、東京都薬剤師会では2013年のスポーツ祭東京の際に、会員薬局に図のようなカードを配布しました。このようなカードが薬局に陳列された薬に貼ってあれば、スポーツ選手やその関係者は安心して薬を購入することができます。


毎年更新される『薬剤師のためのアンチ・ドーピングガイドブック』を準備しておくことも大切です。そのような地道な努力が、アスリートをドーピングから守るのです。きっとあなたの身近なところにも、アスリートはいるはずです。

上村直樹氏について

最終更新日:2017/12/01