大谷道輝先生が、「気づきにくい記載」や「ちょっと変わった相互作用」など、独自の視点から添付文書を解説。読み方の極意を伝えます。
高齢者への投与
高齢者では、腎機能、肝機能等の生理機能が低下していることが多く、医薬品の副作用が発現し易い傾向があり、一般的に医薬品の投与にあたっては常に十分な注意が必要です。このため、効能・効果、用法・用量、剤形等からみて高齢者に用いられる可能性のある医薬品の場合は、他の患者さんと比べて高齢者で特に注意する必要がないと考えられる場合を除き、原則として医療用医薬品添付文書(以下、添付文書)の【使用上の注意】 に「高齢者への投与」の項を設け、必要な注意を記載することになっています。
更新日:2010/06/15
小児等への投与
医療用医薬品添付文書(以下、添付文書)の【使用上の注意】 「小児等への投与」の項目では、低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児(以下、「小児等」)の用法・用量は承認されていないが、効能・効果からみて小児等に用いられる可能性のある医薬品であって、「小児等」に対する臨床データが十分でない場合には、原則として、「低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない。」のように記載されます。また、「使用経験がない」、「使用経験が少ない」等の理由を( )書きで付記しても差し支えないとされています。
更新日:2010/05/06
副作用の発現頻度の記載
医療用医薬品添付文書(以下、添付文書)にみられる、「重大な副作用」以外の副作用、つまり「その他の副作用」では、副作用を発生部位別、発現機序別などに分類し、さらに発現頻度の適切な区分を設定して、表形式でわかりやすく記載することになっています。通常、「0.1%未満」、「0.1~5%未満」、「頻度不明」という3つの区分で記載されていますが、抗悪性腫瘍薬など副作用の発現頻度が高いものでは、「5~20%未満」や「20%以上」といった数字が使用されていることもあります。「その他の副作用」の場合、「重大な副作用」とは異なり、副作用発現時の措置が各副作用ごとに全て記載されてはいませんが、必要がある場合には表の枠外に、脚注として記載されています。
更新日:2010/03/01
臨床検査用語、検査値を学ぼう
前回の添付文書講座のフラッシュでは、パナルジンの添付文書を事例に、「警告」の欄にみられる臨床検査に関する記載および注目すべき検査項目について取りあげました。今回はその中から、添付文書上で目にする機会の多い肝機能に関連する検査項目について、その値が変化するメカニズムや検査の臨床的意義、基準値についての考え方などをご紹介してみたいと思います。
更新日:2010/02/02
「副作用」とその調査時期
医療用医薬品添付文書(以下、添付文書)の副作用の項は、「副作用発生状況の概要」、「重大な副作用」、「その他の副作用」の3項目に分けて記載されており、それぞれ以下のような内容が盛り込まれています。
更新日:2009/12/01
添付文書の改訂情報を素早く知るには?
前回の添付文書講座(「薬食安指示書」、「事務連絡」、「自主改訂」とは?)で、「薬剤師は、必ず最新の添付文書に基づいて、知識と理解を深めておくことが重要です。」とお伝えしましたが、それでは膨大な医療用医薬品添付文書(以下、添付文書)の改訂情報や最新情報は、どのようにして探すといいでしょうか?
更新日:2009/11/16
「薬食安指示書」、「事務連絡」、「自主改訂」とは?
医療用医薬品添付文書(以下、添付文書)は、効能・効果、用法・用量の追加・削除時、再審査・再評価が終了した時、副作用報告が集まった時などに改訂されます。いつどの部分が改訂されたかがわかるように表紙の左上には、その作成あるいは改訂年月が記載されています。この改訂年月は、前回の改訂(例えば「※」印)と今回の改訂(「※※」印)の2回分が表示されることになっており、必要に応じてその理由が併記されています。それではこの添付文書の改訂は、誰がどのように行うのでしょう。
更新日:2009/11/02
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添付文書の記載項目を知ろう
調剤業務に従事している薬剤師の皆さんは、医療用医薬品添付文書(以下、添付文書)を読む機会が多いため、内容を熟知していると思っている方も多いことでしょう。でも、中には見落としや気づいていない内容がまだあると思います。一般的に処方されている投与量でも、添付文書の用法・用量を超えていた場合に事故がおきてしまうと、薬剤師も責任を問われる可能性があります(医師のケースで、「添付文書の遵守義務」について、最高裁が明確な判断を下したことがあります)。このため、薬剤師は、「添付文書の用法・用量」を正しく覚えておくことが重要です。
更新日:2009/10/01
添付文書について学ぼう!
このたび、「大谷道輝の添付文書講座」と題し、連載することになりました。
このコーナーでは、単なる「医療用医薬品添付文書」(以下、添付文書)の解説ではなく、薬剤師の皆さんが知っているようで意外と気づいていない内容や、ふだんあたり前に思っているけれどもその理由を聞かれると「なんでだろう?」と思ってしまうような内容も盛り込んで、添付文書に関連した情報をお伝えしていきたいと思います。
更新日:2009/09/15


- 公益財団法人佐々木研究所附属 杏雲堂病院 診療技術部長。薬学博士。1957年、東京生まれ。
城西大学薬学部薬学科卒業、東京大学医学部附属病院薬剤部、東京逓信病院薬剤部勤務を経て現在に至る。