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薬局や病院薬剤部には多くの薬剤師、助手、事務職員が働いています。スタッフに気持ちよく、辞めずに働き続けてもらうには上司やリーダーによる「人材マネジメント」が不可欠です。今回はその人材マネジメントでも悩みが多い「部下の離職」について一緒に考えていきましょう。
皆さんが働く薬局や病院薬剤部に限らず、どこの医療機関、部署においても、スタッフの離職に頭を悩ませていることが多いでしょう。部下が辞める理由はさまざまですが、組織との関係性や上司に起因するモチベーションの低下が辞職につながったとなると、看過することはできません。
ここに興味深いデータがあります。2012年に厚生労働省が発表した「卒業3年後の離職率の推移」によれば、医療・福祉(介護)分野の離職率は全産業平均より10ポイント以上高く、大卒では38.6%、高卒では47.2%となっています。メディアなどで「3年目の壁」といわれていますが、医療界でも入職3年目には辞めたいと思う人が増えてくる傾向があるようです。
会社や組織にもある程度慣れてくるのが3年目ですが、離職を考えていない人にモチベーションを高く保ち続けていられる理由を聞いたところ、「仕事を通じて成長しているという実感があるから」(38%)、「職場の人間関係がいいから」(36%)の2項目が上位でした(JTBモチベーションズ「入社3年の離職危機に関する調査、2012年」)。つまり、モチベーションを保ち続け、3年目の壁を克服させ、やる気のある若手を定着させるには、成長が実感できることと良好な人間関係が必須といえます。
この両者はいずれも人材マネジメントをする上での大切なポイントです。人材マネジメント力を一朝一夕に身につけるのは非常に難しいことです。そこで今回はポイントを絞り、部下を辞めさせないマネジメントについて、「モチベーション」と「人間関係」の切り口から考えてみましょう。
上司が意識すべき3つの「Not to do(=してはいけないこと)」があります。
(1)えこひいきすること
特定の部下に目をかけ過ぎたり、逆に極端に叱責したりすることはありませんか。上司がえこひいきをすると、された部下もされない部下も、その組織にいづらい雰囲気を味わいます。
上司に好き嫌いがあることは、スタッフ間に瞬く間に広がります。そして、嫌われたと感じたスタッフのモチベーションは急激に低下します。部下への接し方は、「Open」「Clear」「Fair」が基本です。
(2)孤立させること
仕事に熱心に取り組んでいるのに、周囲や上司に理解されず1人で頑張っている状態が続くと、そのスタッフのモチベーションは一気に下がります。また、1人で悩んでいて、上司にもほかの誰にも相談できない状況においても、職員は孤立感を強めていきます。
そのような悩みが積み重なるとモチベーションが維持できなくなり、離職へとつながっていきます。上司は、悩みを早期に発見し、できるだけ孤立感を察知して手を差し伸べることが大切です。
ここで注意しなければならないのが、「そんな簡単なことで悩むなよ!」と上司の軸で考えてしまうことです。特に経験の浅いスタッフは、簡単なことでも悩むものです。
(3)手本にならないこと
上司は、部下から見ると近未来の自分像です。「○年後にはこんな仕事をしているんだ」と期待をふくらませて上司を眺めています。そんな上司が仕事に対して中途半端な姿勢であったり怠惰だったりすると、スタッフはがっかりします。
また、遅刻が多かったり、仕事の締め切りを守らない上司が身近にいると、職員は「それでよいのだ」と思ってしまいます。そのような、ぬるま湯の組織や人間関係になってしまうと、モチベーションの高いスタッフは、上司や組織を見限って出ていってしまうでしょう。
「人材マネジメント」と聞くと、組織行動論や集団心理学、コミュニケーションスキル、ファシリテーションスキルなど、たくさんのスキルや知識を身につけなければ(=To do)と思いがちです。
しかし、実はそんな難しいことよりも、最初のステップとしては「これだけはしてはいけない(=Not to do)」を意識することが大切です。シンプルで取りかかりやすく、効果が高い方法といえます。もちろん、余裕があれば、学問的なアプローチをしていくのもお勧めですが、最初から難解な理論を実践するのは難しく、途中で挫折する危険性もあります。
私のこれまでの経験では、“人材マネジメント力”が高い人は、たくさんのスキルをマスターしているよりも、先ほど挙げた3つのポイントをはじめ、社会人としてのマナーや作法の大原則を徹底している人が多いように思います。
撮影:まるやゆういち
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