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学会共催セミナー/フォーラム

記録集

【SRT update】日本における基質合成抑制療法(SRT)の現状

基質合成抑制療法の原理

ゴーシェ病の治療法の一つである基質合成抑制療法(Substrate Reduction Therapy;SRT)は、グルコシルセラミド合成酵素の活性を抑制することで蓄積する基質の合成を抑制するという原理に基づく治療法である。SRT治療薬としてエリグルスタット(サデルガ®)が開発され、日本では2015年3月に承認、同年9月に発売された。

基質合成抑制療法の有効性と安全性

未治療ゴーシェ病Ⅰ型患者を対象とした海外第Ⅱ相臨床試験の延長試験の8年目の報告1)では、エリグルスタット投与2年後までに認められていたヘモグロビン値、血小板数、脾容積および肝容積の改善が、投与8年後まで持続することが示された。また、腰椎骨密度Tスコアの平均値はベースライン時には骨減少症の範囲内にあったが、エリグルスタット投与4年後の時点で正常範囲に到達し、その効果は投与8年後まで持続していた。

同試験では合計169例・年の患者がエリグルスタットの投与を受け、8年間で26/26例(100%)の患者に合計348件の有害事象が認められた。そのうちエリグルスタットとの因果関係が否定できない有害事象は10/26例(38%)の患者に20件(軽度18件、中等度2件)認められた。因果関係が否定できない重篤な有害事象(非持続性心室性頻脈)が1例認められた。因果関係が否定できない死亡例の報告はなかった。

4つの第Ⅱ/Ⅲ相臨床試験でエリグルスタットの投与を受けた成人ゴーシェ病Ⅰ型患者393例のプール解析では、頭痛、関節痛、下痢、悪心、疲労、腹部膨満、腹痛、上腹部痛、背部痛、四肢痛について、発現頻度などが検討された2)。有害事象の多くは投与開始から半年以内に発現していることが示された()。

有害事象の発現頻度、重症度、関連性、発現時期および発現期間

CYP2D6の表現型とエリグルスタットの適正使用

エリグルスタットは体内で主にチトクロームP450(CYP)2D6によって高度に代謝され、一部CYP3Aによっても代謝される。そのためエリグルスタットの投与にあたっては、遺伝子多型検査によりCYP2D6の表現型を確認する必要がある。また、肝機能や併用薬にも注意する必要があり、患者の肝機能や併用薬(CYP2D6阻害薬、CYP3A阻害薬など)によって、禁忌、併用禁忌、減量投与、慎重投与、併用注意などになる場合がある。

海外第Ⅲ相臨床試験に参加したゴーシェ病Ⅰ型患者におけるCYP2D6表現型の検討では、CYP2D6の活性が通常のextensive metabolizer(EM)が77.7%、活性が低いintermediate metabolizer(IM)が13.4%、活性が欠損しているpoor metabolizer(PM)が3.8%、活性が過剰なultra rapid metabolizer(URM)が3.2%、判別不能が1.9%という頻度であった3)。EMとIM、PMを合計した約95%の患者は、CYP2D6表現型の上ではSRTの適応となる。今後は、日本人ゴーシェ病患者におけるCYP2D6表現型の頻度を明らかにする必要がある。

CYP2D6遺伝子多型検査は、16歳以上のゴーシェ病患者を対象とした先進医療Aとして、東京慈恵会医科大学附属病院で実施されている。

    • 1)Lukina E, et al: Am J Hematol 94(1): 29-38, 2019.
    • 2)Peterschmitt MJ, et al: Blood Cells Mol Dis 68: 185-191, 2018.
    • 3)CoxTM, et al: Blood 129(17): 2375-2383, 2017.

2018年12月1日(土) 野村コンファレンスプラザ日本橋 6階「大ホール」で行われたセミナーを元に制作しております。

紹介した症例は臨床症例の一部を紹介したもので、全ての症例が同様な結果を示すわけではありません。

GZJP.CERZ.19.07.0582

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