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ゴーシェ病はライソゾーム病の一種で、常染色体劣性遺伝に基づく疾患です
- グルコセレブロシダーゼ(glucocerebrosidase)遺伝子異常に基づくグルコセレブロシダーゼ活性低下のため、その基質であるグルコセレブロシド(glucocerebroside)がマクロファージに蓄積することによって発症します。
- グルコセレブロシドが肝臓、脾臓、骨髄に蓄積するため、肝脾腫、骨症状(病的骨折、骨クリーゼなど)を主症状とします。
- 脾機能亢進により貧血、血小板減少を呈します。
- 神経症状の有無と重症度によりⅠ型、Ⅱ型、Ⅲ型に分類されます。
- 骨髄では、マクロファージにグルコセレブロシドが蓄積した、大型の細胞(ゴーシェ細胞)が認められます。
ゴーシェ病は早期診断、早期治療が大切です
ゴーシェ病は、非常にまれな病気です。その症状はさまざまで、しかも個人差があり、そして、ほかの病気でもみられる症状が多いことから、診断することが難しい病気であるといわれています。
放置しておくと進行する病気であることから、できるだけ早く専門医による診断・治療を受けることが大切です。現在、酵素補充療法(Enzyme Replacement Therapy;ERT)が広く国内外の実地臨床の場で用いられています。(1)
早期に治療を開始することにより、肝脾腫、貧血、血小板減少、骨痛・骨クリーゼなどの骨症状を適切にコントロールし、QOL(Quality Of Life:生活の質)を維持・向上させることができます。
臨床病型(2)
- 神経症状の有無と重症度によりⅠ型、Ⅱ型、Ⅲ型に分類されます。
- Ⅰ型は神経症状を伴わない病型で、発症年齢、骨合併症の有無、肝脾腫の程度において非常に臨床的異質性が大きい病型です。
- Ⅱ型は乳児期に発症し、肝脾腫に加えて発達遅延、痙攣、頸部後屈などの神経症状を伴い、急速に神経症状が進行します。最重症例としてコロジオンベビー、胎児水腫を呈する新生児型も報告されています。
- Ⅲ型は、さらにⅢa型、Ⅲb型、Ⅲc型の三つの亜型に分類されます。
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- Ⅲa型は肝脾腫に加えて、若年発症の神経症状(小脳失調、ミオクローヌス、痙攣、斜視など)を呈します。
- Ⅲb型は核上性水平注視麻痺を唯一の神経症状とし、それに加えて重篤な臓器症状を呈する亜型であり、早期発症のⅠ型と鑑別が困難な場合があります。
- Ⅲc型は水頭症、角膜混濁、心弁膜石灰化など極めてユニークな臨床症状を呈する亜型です。これらの亜型以外にミオクローヌスてんかんを主徴とし、肝脾腫の程度が軽い臨床亜型も報告されています。
ゴーシェ病の手がかり
ゴーシェ病においては、ほとんど症状が認められない軽症な病型から重症な病型まで存在します。特にゴーシェ病Ⅰ型では、臨床症状が非常に多様であり、軽度で緩やかに進行するため受診に至らない例も存在します。
- 1)井田博幸 ライソゾーム病―最新の病態,診断,治療の進歩 診断と治療社:144-148,2011
- 2)ゴーシェ病診断・治療ハンドブック編集委員会編集・監修 ゴーシェ病診断・治療ハンドブック第2版 イーエヌメディックス:4-6,2016
- 3)Charrow J, et al. Arch Intern Med 160(18) : 2835-2843, 2000より作図