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サノフィのインスリン研究・開発の歴史
インスリン発見100年の軌跡

1923

インスリン ヘキスト発売

当時のインスリン ヘキストの注入器とバイアルで、サノフィ社の前身であるヘキスト社は、世界で最も早く均質で大規模なインスリンの生産と流通を実現しました。写真下段は世界初とされるインスリン製剤の広告です。

1923年当時の世界初のインスリンの広告

1926

インスリン生産量を倍増

ヘキスト社は1926年9月にフランクフルトに大規模なインスリン生産プラントを設置しました。生産手法の改善もあわせて、1926年にはインスリン生産量が発売当初の2倍になりました。

新設されたフランクフルト工場内インスリンプラント

1936

全てのインスリン製剤を結晶インスリン由来に

ヘキスト社はインスリン結晶化からわずか10年後の1936年に世界に先駆けて生産する全てのインスリンを結晶由来のものに変更しました。

1936年当時の結晶由来インスリン生産の様子

1951

長時間作用型インスリン製剤へのたゆまぬ技術革新

プロタミン添加によるインスリン作用の持続化の発見以降、ヘキスト社は長時間作用型インスリン製剤の技術革新を加速化しました。 1951年には作用時間が9~14時間ある「Komb インスリン」を発売。わずか2年後の1953年には作用時間が18~26時間でピーク時間が3~8時間の「Longインスリン」の発売に成功しました。

1950年代当時のインスリン製剤のラインナップ広告

1960年代

より高純度なインスリン生産を可能に

サンガーによるインスリンの1次構造の特定により、ヒトインスリンのアミノ酸配列に近いブタやウシのインスリンの生産が広く行われましたが、アレルギー反応などの課題は残されたままでした。そこでヘキスト社はより純度の高いインスリン製剤の生産を可能にする生産設備の更新と拡充を行いました。

1963年のインスリン抽出容器

1983

半合成ヒトインスリン製剤発売

ヘキスト社は半合成ヒトインスリン合成成功のわずか4年後に半合成ヒトインスリン製剤である「Hoechst Depot-H-Insulin」の発売を開始しました。

半合成インスリン製造プラント

1998

生合成ヒトインスリン発売

ヘキスト社は1980年代には、遺伝子組み換え微生物を用いてヒトのインスリンを生産する生合成プロセスを開発しました。しかしながら、当時、ドイツ国内では遺伝子組み換え技術が社会的にも政治的にも受け入れられていなかったため、生合成ヒトインスリン製剤の発売は1998年まで待たなければなりませんでした。

1998年に発売された生合成ヒトインスリン製剤

2003

ランタス日本発売

ヘキスト社は、インスリンのピークがなく、作用時間のより長いインスリンアナログ製剤の合成に世界で初めて成功しました。インスリン グラルギン「ランタス」の登場です。
ランタスは、強化インスリン療法の基礎インスリンの補充だけではなく、2型糖尿病に経口薬との併用インスリン製剤として、BOTという新しい治療概念と共に世界中で広く処方されました。2014年には販売額が1兆円を超え、医療用医薬品として世界で2番目の販売額を記録しました。
*:サノフィ社 2014年次報告書「FORM 20-F 2014」

ランタス生産ライン、フランクフルト工場

2009

アピドラ日本発売

サノフィ社は2009年超速効型インスリンアナログ製剤アピドラを発売しました。

2013

GLP-1受容体作動薬のリキスミア日本発売

サノフィ社は2013年、短時間作用型に分類されるGLP-1受容体作動薬「リキスミア」を発売しました。

2015

ランタスXR日本発売

サノフィ社は2015年ランタスXRを発売を開始しました。ランタスXRは、インスリン グラルギン100単位/mL製剤(ランタス)と同一の有効成分を持ち、その有効成分の濃度を3倍にした製剤です。濃度を高めることで注射液量が少なくなり、皮下の無晶性沈殿物の単位量あたりの表面積が小さくなることで、投与部位からのインスリン グラルギンの吸収をより緩徐にした新しい基礎インスリンです。

2019

ソロスターの販売数が世界累計30億本突破

2019年サノフィ社のペン型キット製剤であるソロスターの世界累計販売数が30億本を突破しました。

ソロスター製造ライン

2020

ソリクア発売

サノフィ社は2020年持効型溶解インスリンアナログ製剤であるインスリン グラルギンと短時間作用型GLP-1受容体作動薬であるリキシセナチドを日本独自の配合比1:1で配合した注射剤、ソリクアを発売しました。

2020

インスリン リスプロBS日本発売

2020年サノフィ社は超速効型インスリンアナログ製剤のバイオシミラー「インスリン リスプロBS注HU「サノフィ」」を発売しました。本剤は日本で初めて発売された追加インスリン製剤のバイオシミラーです。

2021

インスリン アスパルトBS日本発売

2021年サノフィ社は超速効型インスリンアナログ製剤のバイオシミラー「インスリン アスパルトBS注NR「サノフィ」」を発売しました。超速効型インスリンアナログ製剤としては日本で2つ目のバイオシミラーです。

1921

インスリンの発見

インスリンの発見は、20世紀最大の医学上の発見の一つといわれています。1921 年、カナダ・トロント大学のフレデリック・バンティングとチャールズ・ベストは、萎縮・退化させたイヌの膵臓からの抽出物を糖尿病を発症させたイヌに投与し、血糖値が下がることを発見しました。1922 年1月、同大学のバートラム・コリップがハンティングらが作製した膵臓抽出物を精製・改良して1型糖尿病の少年レオナルド・トンプソンに投与したところ、血糖値は520mg/dLから120mg/dLに低下しました。他の6例の患者への投与も良好な結果が得られました。同年5月、同大学教授のジョン・ジェームズ・リチャード・マクラウド先生は、米国内科学会でこの抽出物を「インスリン」と命名して発表しました。

バンティングとベストと
ビーグル犬「マージョリー号」

1923

インスリンの大規模生産開始

世紀の発見とうたわれたインスリンの発見から2年後の1923年には、インスリンの大規模な生産が開始されました。米国のイーライリリー社の発売を皮切りに、ヘキスト社、ノルディスク社など合わせて8社よりインスリン製剤が発売されました。

アイレチン発売当時の注射器(1923年)

1926

インスリンの結晶化

発売当初のインスリン製剤は不純物を90%以上含み、効果が不安定で、注射部位アレルギー反応が高率に認められました。そこで、純度の高いインスリン製剤を精製する研究が、各国の研究者の間で行われました。1926年、米国のジョンズポプキンズ大学のジョン・ジェイコブ・エイベルは、偶然に亜鉛の付着した容器を用いたことでインスリンを結晶化することに成功し、インスリンの純度の向上に寄与しました。結晶化したインスリンの血糖降下作用は、当初のインスリンの10倍以上になりました。

インスリンの結晶

1936

持続性プロタミン
インスリンの開発

初期のインスリン製剤は酸性で、注射針が太く強い注射痛を伴うが、尿糖の陰性化のために1日に3~4回の注射が必要でした。また、インスリンの純度の向上により、かえってインスリンの作用時間は短縮することになりました。そのため、作用時間の長いインスリンの開発が研究されました。デンマークのハンス・クリスチャン・ハーゲドンは塩基性蛋白質に着目し、1936年、インスリン製剤にプロタミン(ニジマスの成熟した精巣から抽出した塩基性蛋白質)を添加すると皮下から血中への吸収が遅延し、血糖降下作用が延長することを発見しました。

ハンス・クリスチャン・ハーゲドン

1941

魚由来のインスリン製剤の発売

日本はもともと畜産が少なく、1935~1937年頃まではインスリン原末を海外から輸入していましたが、1938年に戦争により輸入が困難になり、深刻なインスリン不足に陥いりました。1941年、清水製薬が、マグロやカツオ、さらにはクジラからインスリンを抽出することに成功し、イスジリン「シミズ」として販売が開始され、国内の糖尿病患者の治療に用いられました。

遠洋漁業の港町「清水」に魚由来インスリンの製造工場が設立されました

1953

インスリンのアミノ酸配列の決定

英国のフレデリック・サンガーがインスリンのアミノ酸配列を解明し、その配列はヒトとブタでは1個、ヒトとウシでは3個のアミノ酸に違いがあるだけということが明らかにされました。この発見により、遺伝子工学を応用した創薬への道が切り開かれました。
サンガーは1958年にインスリンの1次構造の特定に対して、1980年にはDNAの塩基配列決定法の発見に対して、2度にわたりノーベル化学賞を受賞しました。

フレデリック・サンガー

1979

半合成ヒトインスリンの発見

インスリン製剤の純度が向上し、アレルギー反応やインスリン抗体の産生は減少しましたが、完全にはなくなりませんでした。そこでブタインスリンを改変してヒトインスリンを合成する研究が進められました。1979年、日本で単離された酵素であるアクロモバクタ―プロテアーゼを用いブタインスリンからヒトインスリンへの合成に成功しました。

ブタインスリンからヒトインスリンへ酵素変換(But:保護基)

1995

世界初 超速効型インスリンアナログ製剤インスリン リスプロ発売

1980年代、遺伝子工学の技術により大量の安定したヒトインスリンの供給が可能になり、治療の中心はヒトインスリンになりました。しかし、ヒトインスリンは高濃度の状態では6量体を形成する性質があるため、皮下注射してから単量体となって作用するまでに約30分かかり、生理的なインスリン追加分泌と薬物動態が異なっていました。この問題を解決するため、遺伝子組み換えによる新たなインスリン、すなわちインスリンアナログ製剤を作ろうという動きが出てきました。まず、6量体の結晶を作るときに関連するアミノ酸を修飾した、速やかに作用が発現し速やかに消失する超速効型インスリンアナログ製剤であるインスリン リスプロが1995年にロシアで発売されました。日本国内では2001年に発売開始となりました。

インスリンリスプロHU「サノフィ」製品情報概要

2001

世界初 持効型インスリンアナログ
インスリングラルギン発売

糖尿病合併症の発症と進展の防止には厳格な血糖コントロールが重要であることは、さまざまな 大規模臨床試験で明らかにされきました。そのため、より生理的なインスリンの動態に近づけるため超速効型インスリン製剤とともに必要とされたのは、基礎インスリン分泌を再現する、作用にピークがなくNPH製剤よりも作用の持続時間が長い持効型溶解インスリン製剤でした。インスリン グラルギンは、ドイツへキスト社(現サノフィ社)において、遺伝子組換えにより生合成された世界初の持効型溶解インスリンアナログ製剤です。ヒトインスリンのA鎖21位のアスパラギンをグリシンに置換し、B鎖末端に 2個のアルギニン残基を付加し、結果的に等電点がヒトインスリンの約pH5.5から約pH6.7に移行しています。これによりグラルギンは、皮下投与後に生理的pHで等電点沈殿を起こし、徐々に溶解、吸収されるため、1日1回の皮下投与でほぼ1日にわたり明らかなピークがなく、安定した血糖降下作用を示すインスリンアナログ製剤です。

ランタス製品情報概要

2005

内因性インスリン分泌を促すGLP-1受容体作動薬の登場

2005年、内因性インスリン分泌を促すGLP-1受容体作動薬が登場しました。GLP-1(ヒトグルカゴン様ペプチド-1)は小腸下部から分泌されるインクレチンの一種で、血糖値に依存してインスリンの分泌を促進するため、低血糖をきたしにくい薬剤です。世界初のGLP-1受容体作動薬エキセナチドは2005年に発売されました。その後、様々な修飾をされたGLP-1受容体作動薬が次々と発売され、2型糖尿病治療薬の新しいカテゴリーを形成することになりました。

リキスミア製品インタビューフォーム

2019

FRCの発売

2019年9月、持効型溶解インスリンアナログとGLP-1受容体作動薬を固定比率で配合した、初めての配合注射剤(FRC: Fixed-Ratio Combination)が発売されました。インスリン製剤は低血糖と体重増加、GLP-1受容体作動薬は胃腸障害の発現という課題がありますが、併用することで相補的な効果と安全性が期待されています。

MAT-JP-2008839-1.0-07/2021 2021年7月作成

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