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アテローム性の動脈硬化症は種々の虚血性疾患を引き起こすプラーク(粥状動脈硬化巣)の破綻につながる重要な病態ですが、ほとんどの場合は血栓症を併発しています。動脈硬化巣に形成される血栓は、冠動脈や脳動脈、 末梢動脈でも同様のメカニズムで惹起され、心筋梗塞や虚血性脳血管障害、末梢動脈疾患を引き起こすことから、近年、これらの疾患はATIS(アテローム血栓症)(atherothrombosis)として一括して捉えられるようになりました。
この言葉は、欧米の学会では一般的に使われています。
プラーク破裂 [1]
閉塞性血栓を伴う、冠動脈プラークの破裂。ATIS(アテローム血栓症)の急激な進行によるものである。
プラークびらん [2]
急性冠動脈血栓症を伴うプラークびらん。
アテローム性動脈硬化症からATIS(アテローム血栓症)へ [3]より改変
虚血性イベントの発生のトリガーは、アテローム硬化性プラークの破綻により形成される血小板に富む血栓が動脈を閉塞するプロセスであり、つまりATIS(アテローム血栓症)です。
形成された血栓が閉塞性の場合、冠動脈、脳血管、あるいは末梢血管において急性の虚血性症候群を引き起こします。血栓が非閉塞性の場合は、虚血性症候群の発生は一過性です。ただし、血栓の形成は、臨床所見として現れない場合でも、常に形成と消退を繰り返している動的なプロセスであり、プラークの成長を促します。また、形成途中の血栓から凝集した血小板が小凝集塊として飛来し、末梢血管閉塞などの急性反応をきたします。
プラークの破綻から血栓形成まで [4]より改変
アテローム性動脈硬化を基盤とするATIS(アテローム血栓症)では、形成途中の血栓に凝集した血小板塊が剥離して小凝集塊となり、微小血管を閉塞させることが、画像所見上で確認されています[5]。プラーク破綻により引き起こされた血栓からの小凝集塊の剥離は数時間から数週間続くことがあり、微小血管の閉塞から心不全や脳血管性痴呆に至る可能性もあります[6]。したがって、ATIS(アテローム血栓症)は、血栓の形成だけではなく、そこから飛来した小凝集塊が塞栓となり得る点で重要です。
小凝集塊の剥離 [7]をもとに作成
参考文献
最終更新日:2015/12/15
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