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「若い男性を診察するときに、とても快い体臭を感じることが度々ある」と私の親しい友人の医師が言う。それはいずれも似たような共通のニオイのイメージを持っていて男性用のコロンとは違うのだが、言葉で表現することは難しいという。ニオイの表現はたしかに難しい。

男性の体臭というと脂くさい、ちょっとチーズのような、汗臭い、むっとする等の良くないニオイ表現が用いられることが多い。しかし、私自身も男性から気持ちの良い体臭を感じることがある。私の表現でいえば「麝香と白檀をあわせもつ柔らかいぬくもりのある奥深い香り」である。これなら天然香料を調合して何とか創れそうだ。ところで、このニオイはいったい何なのだろうか。

男性ホルモンの分泌の盛んな青年期の男性は、ヒト本来の強い体臭を放つ。腋の下のニオイの成分の一つであるアンドロステノールは、男性ホルモンのテストステロンの誘導体である。つまり男性は、一番生殖活動が活発な時期に、女性を惹きつける体臭になる。

アンドロステノールのニオイを確かめるためアメリカから試薬のアンドロステノールを取り寄せた。白い粉末で、エタノールに希釈してニオイをテストするときに用いる匂い紙につけて嗅ぎ込んでみる。麝香と白檀のソフトな特徴をあわせもっている、そして時としてニオイが強く拡がる性質もあった。予想していたニオイに間違いない。

男性の体臭の中に潜んでいる女性を惹きつける香りには女性自身は気がつかないかもしれないが、潜在意識の中で心を動かされることがあるだろう。それとも女性は気づかないふりをしているだけで実はこのあやしい芳香を知っていて、ひそやかな話題にしているのかもしれない。

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